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シンガポール晴れの入城 (伊藤久男)。

伊藤久男と合唱団の歌う「シンガポール晴れの入城」。野村俊夫作詞、古関裕而作曲という、福島県出身者コンビで書かれています。太平洋戦争開戦後、暫くの間は日本軍による攻勢と勝利が続き、遂に日本軍はマレー半島に上陸してジャングルの中を進撃します。此の時に見られたのが、自転車で移動する“銀輪部隊”部隊であり、一時的とはいえ制海空権を有した日本軍は英軍を圧倒して、遂に大英帝国の東洋に於ける牙城であるシンガポールの北岸に到達。昭和17年2月8から15日まで、ほぼ一週間に渡る戦闘で日本軍は大勝利を収め、英軍司令官パーシバル将軍以下大勢の捕虜と物資を押収。占領後は軍政が敷かれて、島は昭南島と改名されて終戦まで日章旗が翻ったのです。この勝利を祝う歌が各レーベルから企画され、コロムビアは古関、服部、古賀の三人に其々依頼しました🎼。

古関裕而作曲による「シンガポール晴れの入城」は、全4番構成であり、伊藤久男のソロと合唱が交互に入っています。シャキッとしたトランペットのイントロの後で前奏に入り、先ずは合唱からスタート。そして2番、3番と伊藤久男がソロを聴かせて、4番で合唱に戻って終わるという流れです。一言一言を重く噛み締める様な歌唱には、多くの戦友達を喪いながらも敵を撃滅し、そして生き永らえて凱歌の中に居る兵士の喜びと悲しみが入り混ざった複雑な感情が込められており、ラストの合唱が終わっての後奏は一層と盛り上がって締めていました。それはまさに映画ラストの大団円、カメラが段々と引いて行き、戦い止んで行進が行われている場面を俯瞰で観ている様です。古関裕而作曲の戦時歌謡の中でも高揚感を催す一曲であり、レコードは昭和17年春に発売されています😀。


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