ガラマサどん (古川緑波・徳山璉・江戸川蘭子)。
古川緑波、徳山璉、江戸川蘭子の歌う「ガラマサどん」。上山雅輔作詞、高木静夫作曲で、東宝映画「ロッパのガラマサどん」の主題歌です。当時の主だった喜劇人達、例えばエノケンやシミキン、二村定一らとは対照的に、古川緑波は山手の富裕層やインテリ層に大ウケでした。明治36年に男爵の家柄に生まれた彼でしたが、六男である為に家訓により養子に出されて古川姓を名乗ります。その親族は貴族院議員やら銀行の幹部やらインテリ揃いであり、従って彼は幼少の頃より家に相応しい教育を受けていました。学生時代より文筆活動を始めて頭角を現し、その後は喜劇役者の道へと転向。昭和一桁半ばから人気が出始めて、ポリドールに「整体模写オンパレード」などの演芸レコード数枚を録音して数年後、ビクターからの勧誘を受けて、昭和11年に専属歌手として入社しました🎙️。
「ガラマサどん」とは、元々昭和5年に雑誌キングに連載された佐々木邦原作小説の事。ビール会社の老社長、通称“ガラマサどん”(熊本弁で蟹の意)は大変なワンマン振りながらも情けに厚く、その部下達からはやや困り者ながらも慕われております。その主題歌は部下役の徳山璉が🎵うちの社長のガラマサどん…と紹介からスタート。緑波扮するガラマサどんは、毎晩下手な義太夫を部下達に披露し、部下の妻役の江戸川蘭子が溜息にも似た気使いをする…三者三様の個性が滲み出た楽しい歌でした。おそらくは映画でも同じ顔触れで演じられていると思われ、監督は岡田敬が担当。他に山縣直代、神田千鶴子が出演しております。それにしてもですが、昔から社長キャラは禿げていて歌も音痴とは定番の設定ですね。裏は三益愛子の歌う「てなもんやおまへんか?」が組まれております😀。