おさらば東京 (三橋美智也)。
今日5月27日は、歌手、作詞家、そして作曲家として戦前戦後と大活躍した中野忠晴の115回目の誕生日です。彼の作品は歌、曲とも余りにも多過ぎて、いざ選ぶとなると頭を抱える事の連続ですが、今夜はその中から三橋美智也の歌う「おさらば東京」を。横井弘作詞、上野正雄の編曲で吹き込まれています。戦後、淡谷のり子やディック・ミネの様に再び軌道に乗って歌手活動を再開した人も居れば、中野忠晴の様に上手く行かない人もおりました。中野は音楽よりも生活を再建する事を優先し、一時期はサイドビジネスに手を出すもそう上手くいく訳もなく、忽ち事業は失敗。借金塗れで窮地に陥った中で友人を頼り、縋る思いでキングレコードを紹介して貰い拾われました。四苦八苦する中での再就職活動の末、再び中野忠晴は作曲家として歌謡界に復帰。第二の人生が始まります🎼。
暫くの間、中野忠晴はポップス風の歌を提供しましたが、売れたのは松島詩子の「喫茶店の片隅で」くらい。そして上層部から「もっと大衆向けの歌を」と促され、その期待に応えるべく新人の三橋美智也を起用して吹き込んだ「あゝ新撰組」がヒット。此の方面に手応えを感じた中野忠晴は、三橋をどんどん起用し彼の人気も上昇して行きました。「おさらば東京」は曲名通り、夢破れ東京に別れを告げて何処へと旅立つ男心を歌っており、最新の楽器であるエレキギターが乾いた音色を奏でます。スローテンポで、ハバネラタンゴの旋律がベースにあり古風な感じもするのですが、エレキの尖った響きが斬新さを放っていて、エキゾチックに感じるのもポイント。三橋の甲高い歌声も何処かワイルドであり、単純に「演歌」とは区分し切れない、ギミックに満ちた一曲と言えるでしょう😀。