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わが恋人 (奥田良三)。

奥田良三の歌う「我が恋人」。サトウハチロー作詞、未記載ですが編曲は山田榮一が担当しています。昭和5年にポリドールは邦楽新譜のリリースを開始するのですが、奥田は最初からそのメンバーとして名を連ねていて、正式専属になって以降は終生同社の為に歌い続けました(ただし戦前と戦後の一時期のみ、ビクターからも新曲をリリース)。時の日本支社長である阿南正茂から、歌手契約の条件である”ドイツ留学“の約束を取り付けた奥田は、昭和6年から約2年間、欧州と日本を行き来する忙しい日々を送る事になります。そしてポリドール本社で入れた「これぞマドロスの恋」「命かけて只一度」が大ヒットし、以降ドイツ映画主題歌をレパートリーに加えて、それ以外の同国の流行歌も次々と録音。「腹の立つ時は」「ボクサーの歌」「今宵は如何?」などは好評を得るのでした🎤。

「我が恋人」は独ウーファー映画「お洒落王国」の主題歌で、作曲はエメリッヒ・カルマン。ラインハルト・シュンツェル監督がメガホンを取り、出演はケーテ・フォン・ナジー、ウィリー・フリッツ、オット・ヴァレスブルグ、ハンス・バスマンなど。若きパリの女性スタイリストと、ある国の女嫌いの王子様との恋物語で、映画は1931年公開でした。奥田の歌う主題歌は二番構成で、フォックス・トロットで書かれています。トランペット、サックス、フルート、バンジョー、ドラムなどが用いられていて、重厚なブラス陣の放つ上品なサウンドは、着飾った紳士淑女がバルコニーで踊る様を連想させるかの様。此の歌は日本録音ですが、本場の楽団よりも纏まった仕上がりであり、山田榮一の優れた編曲が活き活きとしていました。奥田の貴公子然とした歌唱も見事なものですね😀。

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