南の島土人の唄 (三浦時子・橘薫)。
三浦時子と橘薫、そして宝塚花組声楽部生徒連による「南の島土人の唄」。白井鐵造作詞、竹内平吉作曲とありますが、これは白井原作の宝塚レビュー「ローズ・パリ」の挿入歌の一つです。田舎の小学校教師が歌手に憧れて花の都のパリへ出て、夢と恋を追うと云う物語。全20景に及ぶこの大作は“宝塚に白井鐵造あり”と認知させる程の出来映えであり、昭和6年に公演されるや大ヒットして、ポリドールから10曲ものレコードがリリースされました。その中には「モンパパ」「ドンナ・クララ」など、宝塚以外でも大いに歌われたナンバーもありましたが、此の歌に関してはちょっと他では聞いた事がありません。過去発売された宝塚主題歌集でも、此の歌はタイトルが不味いのか未復刻でした。出演は三浦時子らの他、雪野富士子、草笛美子、明津麗子らの名が確認されております🎼。
「南の島土人の唄」は、ラベルでは竹内平吉作曲とあるものの、聴いた限りでは外国曲ではないかと思われます。歌詞は南の島には結婚相手の居ない色黒のお姫様(二番では王子様)がおり、真珠も宝も目一杯あるから誰か婿(嫁)においでなさい…と言うもの。二番構成で、軽快で何処かブラックなノリなメロディ。全編に渡って“ドンドコドンドコ…”と云う勇壮な太鼓が鳴り響き渡り、その急迫的な前奏は如何にも未開の島の何処か謎に満ちた空気を伝えています。曲は短調から始まり、サビから長調に転じた後は合唱にバトンタッチ。一番を三浦、二番を橘が歌うのですが、二番の途中で声が裏返るのは御愛嬌と言った所でしょう。太鼓の他、トランペットやトロンボーン、弦楽器が勢いよく入っております。編曲の竹内平吉は明治20年の生まれで、元は浅草オペラでも活躍しました😀。