ブロードウェイ・メロディ (河司晴江)。
河司晴江の歌、エアネスト・カアイ・ジャズバンド伴奏による「ブロードウェイ・メロディ」。坂井透作詞、ナシオ・ハーブ・ブラウン作曲で、編曲はリーダーのカアイが手掛けております。原曲は今から95年前の1929年2月に公開された、同名アメリカMGM映画の主題歌であり、日本でも1年遅れで公開され大ヒットしました。ブロードウェイの舞台を描いたミュージカル大作、ハリー・ポーモント監督がメガホンを取り、出演はチャールズ・キング、アニタ・ペイジ、ベッシィ・ラブなどで、トーキーとしては初のアカデミー作品賞に輝き、歴史的な一本となったのです。作曲のブラウンは他にも“singing the Rain”や“turn on the heat”など、ノリノリで楽しいナンバーを書く事で有名なヒットメーカーであり、それらの歌も続々と日本に入り幾つかのカバー盤も出る程でした🎼。
主題歌は映画公開と前後して、ベン・セルヴィン楽団をはじめとして幾つかの洋盤が発売され、日本語盤ではコロムビアからは澤智子と徳山璉がカバーしているのですが、此の河司盤はそれよりも先に録音されています。河司は此の時期にのみビクターに現れた無名のソプラノ歌手で、昔は四家文子の変名と云う説もあったのですが、彼女よりも高音であり今や其の可能性は低いと言えるでしょう。ウクレレ奏者でジャズもこなしたカアイのバンドだけに、伴奏は本場と遜色のない素晴らしいレベル。ピアノ、バンジョー、サックス、ウクレレ、トランペット達が縦横無尽に響き渡り、当時のダンスホールの喧騒が溝の彼方から伝わって来ます。この裏面も映画の挿入歌「意中の人」が組まれましたが、何故かこちらは歌手名が伏せられておりました。レコードは昭和4年秋に発売されています😀。
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