三絃チャールストン (藤本二三吉)。
藤本二三吉の歌う「三絃チャールストン」。角田重勝作詞、山崎祐康作曲で、時の人気芸者歌手二三吉姐さんが入れた内の一曲です。彼女は明治30年浅草の千束生まれで、本名は藤本婦美。10代の頃より芸者として技を磨き続けた彼女は、大正初期に葭町の検番に属して二三吉と名乗りました。常磐津を手始めに小唄端唄と次々とこなして行き、26歳の頃にレコードデビューを飾りました。昭和に入ると日本進出したばかりのビクターレコード専属となり純邦楽はもちろんの事、佐々紅華の書く新小唄=流行歌でも才能を発揮して次々とヒット曲を送り込み、中でも「祇園小唄」は長年民謡のなかった祇園のテーマとなり、今日まで唄い踊られる存在となりました。他にも「浪花小唄」「唐人お吉・明烏編」と続くのですが、其の中で印象的な曲名なのが「三絃チャールストン」です🎼。
元々「チャールストン」とはアメリカはサウスカロライナ州にある街の名前で、1920年代に彼の地で興ったダンスに都市名がそのまま名称として定着しました。此のダンスは両膝を付けて脚を高らかに上げると云うリズミカルなもので、当時主流だったラグタイムやディキシーランド・ジャズをBGMに踊っていたのです。なので此の「三絃チャールストン」も芸妓の歌うジャズ調の曲かと思いきや、中身は御座敷調の新小唄であり全くバタ臭さはありません。三番構成でリズミカルな三味線や鳴り物入りの伴奏、歌詞も都会的で日本橋や柳橋の夜景が偲ばれます。作詞作曲者は当時ビクターに出入りしておりましたが、どの様な人物かはハッキリとは分かりません。A面には金色仮面(小林千代子)の「ワルツ日本」がカップリングされており、レコードは昭和7年春に発売されました😀。