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卒論・修論の準備:書き始める前に卒論・修論マニュアルを読む

 10月が早くも終わりそうです。そろそろ、卒業論文や修士論文を本格的に書いている人も増えてきた時期ではないでしょうか。
 しかし、卒論や修論の書き方がいまいちよくわからない。あるいは、しっかりしたものを提出して大学や大学院を卒業したいが、どう書くべきかがわからない。そういう方も多いことでしょう。
 この記事は主にそのような方のために書かれています。それ以外の方にとっては、この記事は研究の世界を垣間見ることのできる内容となっています。
 

本格的に書き始める前に、全体の計画を立てるべし


 まず、卒論についてです。ほとんどの大学生にとって、卒論は始めて執筆する論文でしょう。さらに、大半の学生にとっては、卒論は一生で最初で最後の論文となるでしょう。
 卒論はなんとなく書いても合格となることが多いものです。しかし、最初で最後の論文なので、しっかりしたものを書きたいと考えている方も少なからずいるでしょう。この記事はそういった方により適しています。
 では、卒論では何を書いたらよいのか。その大枠については、ネットで調べるだけでもだいたい知ることができます。しかし、しっかりした卒論の執筆方法については、ネットの情報では不確かだということもあります。
 この点で、ネット上の情報は玉石混交であり、ピンキリです。卒論の書き方がよくわからない人からすれば、どれがよい情報なのかを適切に判断できない可能性もあります。
 ですので、私が大学生であれば、卒論の書き方にかんする定評ある本を選んで、そこから適切な情報を得ることにします(そのいくつかをのちに紹介します)。

 卒論執筆の手順は次のようになるでしょう。まず、定評ある本から、卒論の書き方の適切な情報を入手する。次に、卒論の全体像を大まかに決める。そこから、本を読んだり実験したりする。書く材料が一定程度たまったら、書き始める。追加で本を読んだり、論文を加筆修正したりする。これらを繰り返して、卒論が完成する。
 この手順は修論でもだいたい同じです。論文執筆中にも、適宜、卒論の書き方の本を参照することになるでしょう。

 定評ある本を二冊だけ紹介すると次の二つになります。

 
 これの初版がいつ出版されたのかわかりませんが、ロングセラーとなっている一冊の最新版です。生協の本屋などで見たことのある人も多いでしょう。手堅い一冊です。


 こちらは2019年に公刊ですので、より新しい定番の本です。こちらもよく耳にする定評ある一冊です。学生だけでなく社会人をも読者として意識して書かれている点が、上掲の一冊目との違いでしょう。レポートを書く機会があるのは学生だけではありませんから。

 修論や一般的な論文の書き方をも考慮にいれると、より高度なテクニックや素養が求められてきます。そのようなニーズに応えているのが、この一冊です。

 本書の射程に入ってくるのは、卒論・修論・一般の論文、研究計画書です。特に、修論以上の論文を執筆する際に役立ちます。
 たとえば、修論以上の論文の執筆でプロでもしばしば頭を悩ませるのが、論文の意義をどう示すかです。
 その背景として、この世の中には、論文は無数に存在します。しかし、読者たる研究者はしばしば非常に多忙であり、論文を読む時間が限られています。そのような中で、わざわざあなたの論文を選んで読むかどうか。
 その判断基準の一つが論文の意義です。学術的な視点において、その論文がなんの役に立つのかという点です。序論で意義が明確に示せなければ、あなたの論文はなかったことにされるでしょう。この点は、論文だけでなく、研究計画書にもだいたいあてはまるといえます。
 では、論文の意義をどこからもってくればいいのか。この問題に取り組むためのアプローチを、この本は具体的に示してくれています。私が読んできた論文マニュアル本のなかで、本書がこの点を最もよく説明してくれていると思っています。
 修士課程や博士課程の学生は、はやいうちに一度は本書を読んでみることをおすすめします。プロの研究者を目指すのであれば、このような学問上の型を早めに習得しておいたほうがよいでしょう。


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