【番外編】メンバーのフェイバリット5 fromミュージック・マガジン編①
ミュージック・マガジン誌「50年の邦楽ベスト100」を全て聴き、レビューしてきたメンバー10人による推薦盤のご紹介です!今週は、メンバーごとに選盤テーマから設定した5枚のリスト×10人分を、ここまでの企画全体への感想とともにお届け。
ここまで記事を読む中で趣味が合いそうだと感じたメンバーの推薦盤を聴いてみるもよし、反対に選盤の趣味が合うメンバーのレビューを見返すもよし、新たな出会いのきっかけになればとても嬉しいです。
The End End
選盤テーマ
この企画で初めて聴いた作品の中で、日常的に聴くようになったお気に入りたちです。2010年代はそもそも知っていて好きなものが多かったのでここには入らず、、
個人的に2022年は細野晴臣を研究しまくっていたこともあり、この企画を通して"ポップス"への愛情がかなり芽生えてきています。"わかる人が分かればいい"に安易に逃げ込んではいけないんだなと大反省。ポップであることは、エクストリームであることよりもハードコアなのかもしれません。
5枚リスト
①金延幸子『み空』
②井上陽水『氷の世界』
③フリクション『軋轢』
④いとうせいこう『MESS/AGE』
⑤カーネーション『LIVING/LOVING』
雑感
構想段階での目論見がものの見事に形になって、主催としてものすごく嬉しいです!私たちにとって初めて触れる素晴らしい作品たちとの出会いのきっかけになりましたし、批評とも感想ともつかない文章が複数の作品に対して複数人分堆積した結果は、かなりの意義がある資料だと思っています。
そして、身も蓋もないことを言いますが、この企画をここまでやってきて感じたことは"全部の音楽を聴く必要なんて全くない"ということです。正直100枚の中の5〜10枚くらいはサッパリ食指が伸びなかったけど、みんなが全部を知ってて好きな必要なんて全くないし、私は私の大好きなものを楽しみ続けることに人生を費やす方をやりたいなあと。
周りの音楽好きが騒いでる新譜、必修盤として扱われているスタンダード、それらを聴いていないことは、聴いている人に比べて音楽を好きじゃないことを意味しない!
ただ、私は知らないことをなるべくたくさん知りたいし、そして人を巻き込まないとなかなか続かないので、あと500枚走っていきますよ。読んでくださっている方々も、みんなでゆるゆる楽しみましょう(^o^)
桜子
選盤テーマ
好きなジャケット。ランキングに入らなかったものもあるけれど、80〜82年が特に好き。
予定調和を崩していて、目を引く色彩でありながら、ごちゃごちゃうるさくない。色の統一感がある気がして。"メシ喰うな!"や"FANTASMA"の色彩とシンプルさは自分のジャケットの参考にもしました。
5枚リスト
①坂本龍一『B-2 UNIT』
②フリクション『軋轢』
③INU『メシ喰うな!』
④山下達郎『FOR YOU』
⑤コーネリアス『FANTASMA』
雑感
めっちゃ大変でした!!!!!
でも聴くのはさして苦じゃないし、単純に勉強になるから、辞めようとは思いませんでした。
そして、音楽は、"誰に語られるか"という事も重要なんだと思いました。MMのランキングも結構偏りがあるように思えるし、私の音楽史を変えた文脈がランクインしていないし、逆にMMに教わった音楽もあります。
誰に語られるかで、歴史に残っていく音楽が変わっていく。語り手の責任重っ!って思いました。
俊介
選盤テーマ
法律に抵触してる疑いのある5枚。アーティストとメンバーの犯罪歴は考慮してません、5枚に入り切らないし大変なことになるので。妄想です。
5枚リスト
①頭脳警察『頭脳警察セカンド』(刑法77条)
②INU『メシ喰うな!』(刑法202条)
③フリッパーズ・ギター『カメラ・トーク』(銃刀法 第2条)
④椎名林檎『無罪モラトリアム』(風営法 第22条)
⑤くるり『TEAM ROCK』(廃掃法16条)
雑感
100枚を一応(途中離脱していたので)おえた雑感としてまず思うのは、あんまりピンとこない作品が多かったということ。
単純に自分のアンテナが劣化したのか、感受性が足りないのか、そもそもこのランキングを選出したレビュワーがしょうもないのか(絶対そんなことないけど)とか色々考えるものの、手当り次第サブスクなりアナログ通して雑多に食指を伸ばしてみる普段の営為すら、そのピンと来ない作品の上に成り立ってることを実感。やっぱり過去と今は地続き。
好み好みじゃないはともかく、選出された100枚の作品群にリスペクトを抱かない瞬間はなかったと思う。すごく素敵な企画だった。ありがとうございます。
突飛なテーマで5枚選んだのも、自分の好みなり感性を頼りにすると5枚に収まらないが故。
自分の感性から逃げ続けた末にあんまり面白みのない選出の仕方をした気がするけど、選出の為に歌詞を改めて振り返ってみて唯一得た気づきは、自分の予想に反して60〜70年代前後の歌詞は後の年代に比べて反社会的な歌詞が少なかったこと。
歌詞にするより行動に移す方が当時としては容易いとか、昔の方が犯罪を仄めかす上手な歌詞上の隠喩が多いとか色々事情はあるんだろうけどそれには驚いた。後年のアーティストの方がアンファンテリブル的な振る舞いが多かった気がする。
時代を経てレベルミュージック的な音楽が鳴りを潜めて、より大きい力に懐柔されていったってこともあるのかな。
あくまで歌詞の言葉尻だけに着目した選出方法だったので当然なのかもしれないけども、なにはともあれ新鮮で面白かったです。
次回もお楽しみに。