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Bill Withers『Just As I Am』(1971)

アルバム情報

アーティスト: Bill Withers
リリース日: 1971/5/1
レーベル: Sussex(UK)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は304位でした。

メンバーの感想

The End End

 空気の音!ドラムが、ギターが、鳴っている空間そのものの音が閉じ込められている。シンセみたいなストリングスの音も最高、ゴリラズのサンプリングネタ調べたらこのアルバム入ってるんじゃない……?と思うような質感だ。
 「Hope She'll Be Happier」の歌の節回しやエコーのかかり方なんかはジェイムス・ブレイクみたい(発声の仕方がそもそも似ているかも)で、ゴリラズ含め、頭に浮かぶラインナップの飛躍具合が面白い。

コーメイ

 ボーカルと簡素な演奏でのみ構成されていたが、前者の声色が飾り気がなく、純朴に歌い上げていると感じた。シャウトも目立たず、低く唸る箇所もあまり登場してなかった。しかし、自分の声を誇張しているのではなく、自分のフィールドで勝負しているようだ。そのため、わざとらしさが感じられず、自分の持ち物を上手く使っていると思われた。この姿勢と伸びやかな声色でもって、アルバム全体を支えている。

しろみけさん

 アコギのブラッシングミュートってこういう風にも使えるのか……と同世代のミュージシャンは衝撃を受けたのではないのだろうか。「Let It Be」のカバーを待たずとも、60年代のビートルズやザ・バンド、そしてジェイムス・テイラーが進めたブラックミュージックの婉曲的解釈を通過した、全く新しい時代のソウルであることがわかる。「Hope She″ll Be Happier」で息を呑まない人類はいないのでは(これってYEN TOWN BANDの元ネタだったりします?)。あと、爆破オチなんてサイテー!

談合坂

 急行列車のごとくスムーズに、縫うように重厚な音が流れていく。聴いていればリッチと言うに相応しい音の印象が確かに存在しているのに、総体としてはやけに肩肘張った感じが抜けて、ナチュラルに、またカジュアルに目の前に現れてくる。とても素直に聞き心地が良いと言えてしまう魅力がある。全体的に、前のめりなのと同時に水平にどっしり構えているような感じのビートで進んでいくのが好きかも。

 ストリングスの使い方がすごく好き。ドラム、ボーカル、ベースの素晴らしさはもちろん、ウワモノの使い方のセンスの良さでひたすらに戦っている気がする。ピアノのトーン、オルガンの暖かみ、静かに耳を傾けたくなる魅力でいっぱいだ!

みせざき

 落ち着きと抑揚を兼ね備えた歌声がR&B音楽の奥行きを形作っていると感じる。平坦な印象のバンドサウンドもこの声により奥が深い印象をもたらす。また「Ain't No Sunshine」のような名曲もあり、曲そのものをうっとり聴き入る、という姿勢に自然になってしまう。

六月

 1曲目から、ここまでストリングスとR&Bをうまく折衷した楽曲があるかみたいな曲でテンションが上がった。その後も全曲クオリティの高い楽曲が続く。特にドラムがすごくいいアルバムだと何度も聴きながら思う。調べてみると、かの名うてのインストゥルメンタル・バンド、Booker T. & the M.G.'sのメンバーがバックを務めているそうで、この演奏の素晴らしさも納得という気持ちになった。特に「Everybody’s Talkin’」や、「Let It Be」のカバーは特に良い。

次回予告

次回は、Marvin Gaye『What's Going On』を扱います。

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