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Beatles『Rubber Soul』(1965)

アルバム情報

アーティスト: Beatles
リリース日: 1965/12/3
レーベル: Parlophone(UK)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は35位でした。

メンバーの感想

The End End

 これ以前のビートルズの作品たちを企画で聴いてきたけれど、正直に言って"昔のアルバム"であることを意識して受容する必要があった。でもこのアルバムはそうした認識を持つ必要がないほど、アレンジも演奏もプロダクションも洗練されていた。初めて『風街ろまん』を聴いた時の、"50年近く前の作品がこんなに音良いの!?"という驚きに似ている。
 これまでと異なる作風の楽曲や、シタールなどを取り入れていること以上に、引き続き取り組まれているロックンロール・マナーに則った楽曲たちの響きの変化が凄まじい。

コーメイ

 非常に局所的になって申し訳ないけれども、「Girl」曲終盤のシンバルが耳に残った。というもの、同時に演奏されているシタールの方に気を取られていたからである。しかし、シタールとともに曲の雰囲気を盛り上げていくシンバルが、正確なタイミングで叩かれているため、思わず、両者の畳み掛けに呼応して身を前後に振りたくなる効果があったように思われる。何回も本アルバムを聴いているはずなのに、今まで気付かなかった箇所であった。これからも聴いていくうちに、どれくらいこのような見落としがあるのやら。

湘南ギャル

 何回聴いても好きだ。あまりにアルバムとして統一感がある。それでいて全曲が良い。このアルバムの素敵なところは、がっつり聴き込んでも楽しいのに、ながら聴きだってできちゃうところ。イヤホンをつけて集中して聴くのもよし、スピーカーで流しながら読書のお供にするのもよし。主張の塩梅が絶妙だからこんなことが可能なんだろうか。何度リピート再生したって疲れない。ラバーソウルはいつだってあなたに寄り添い、あなたを夢中にさせ、あなたを飽きさせない。

しろみけさん

「Norwegian Wood」でシタール使ってたり、「Think For Yourself」でジョンらしいドテチテ感を演出しながら品の良いワルさを演出したり、ジョージくんの進化エグい泣 ジョンが「Nowhere Man」だったり「In My Life」みたいなミドルテンポの曲を書いてみたり、情景描写的な歌詞が増えたり、勢い任せのアイドルがモータウンとかフォークの人たちみたいな腰を据えて歌を作っていく人たちとも渡り合うようになったのとかメロいかも〜。でも、うん、🍎も含めた昔のわちゃわちゃしてた4人の方が好きだった……とか言うのは古参ヅラしてるbbaみたいだよねごめんグヌヌ

談合坂

 さまざまに新しいものが聞こえるようになってきたのは理解できても、ビートルズということを意識してしまうとむしろ薄味に感じた。ポップ音楽に襲来したものとしてのフィーバーではなく、シリアスに向き合う対象へと切り替わった。リリース年を確認してその展開の速さに驚く。
 個人的な相性の話をすると、このアルバムに関してはヘッドホンを左右逆にかけて聞いたほうが随分としっくりきた。全編通してこれは変わらなかったので、プロダクションの統一性を改めて感じることができたということか。

 どこか泥臭いブルージーなリフが洒脱なピアノと混ざり洗練されたロックのトーンへと昇華した1曲目「Drive My Car」からわかるように、このアルバムはビートルズメンバーの音楽的好奇心とソングライティング、そして録音技術の向上が奇妙な結合を果たしている。ブリティッシュビートやR&Bやらロックンロールといった言葉で括れない、世界一のポップスターによる新たな音楽の歴史の編纂作業のスタート地点。「Nowhere Man」を父親が車内で流して初めて聞いた時のことを忘れられない。人の声がいっぱい重なって酔いそう気持ち悪い、でも口ずさみたくなる。この居心地の悪さと良さが混在するサイケデリック感覚は後のビートルズの曲にも繋がる。こう改めて聴くと「In My Life」はバンドの歩みを振り返っているようにも聞こえるし、「Wait」って誰に対して...?とか考えてしまう。自分はビートルズに結構思い入れがあるんだなぁ。

みせざき

 初期から中期へ、確実なるビートルズが歩みが記録されているのが本作だと思う。アイドルからスタジオミュージシャンとして、かつて無い創造性が存分に発揮されており、正直何の楽器が鳴らされているか分からないような楽器も沢山入っている。曲も3分以上を回る曲が多く、現在のロック・ポップスの一番普遍的な形に近づいた瞬間を見ることができる。ポールのベースが印象的な場面も多く、ルートでは無い、コード進行とアシンメトリーな動きが多いのも興味深い。
 特に好きな曲は「ノルウェーの森」だ。何かの本で読んだ批評に「ジョージのインド感化の動きはこの曲のシタール以外完全に邪道だった」というものを見たことがあるが、正直私も大方そうだと思う。この曲ではシタールが本作にかつて無い奥行きとトリップ感をもたらしているし、完全に効果的な影響を与えている。

六月

 極めて個人的な思い出から始めてみる。小学5年生の頃、洋楽なるものを聞いてみたいと思い立ち、そしたらまあ最初はベタにビートルズだろと素人考えでTSUTAYAで順番にオリジナル・アルバムを借りて聴いていくのをはじめた、最初の「Help!」までの5枚はあまり合わず、少し修行のつもりで聴きながら、俺には洋楽ってハマらないのかなと不安を感じながらも我慢して、じゃあ次、とこのアルバムをCDプレーヤーに入れ、再生ボタンを押した瞬間は今でも覚えている。最初の「Drive My Car」のギターリフでこれまでとは何かが違う、一気に引き込まれて、そして「In My Life」の早回しのピアノで完全にノックアウトを喰らった。その当時はよくわからんがなんかこの部分スゲーと思いながら何度も聞き返していた、今聞き返してみると明らかに同じ楽曲内にそれまでの楽曲を支配していた音や空気とは異なるローファイ気味に加工された音色のサウンドが挿入されているわけで、それがバッチリハマっている、その全く違うもの同士が同じ場所の中で良い具合に調和すること、つまりバンドというものの気持ちよさを瞬時に悟った。そこから洋楽にハマったので、本当に人生が変わったアルバムなのですが、今聴き直しても全く思い出補正なんかなく、むしろ聞けば聞くほど新しい発見があって、ため息が出る。

和田醉象

 明らかに別ステージに行ってしまった感がある。こうなってしまうと音楽として使用耐久性高すぎて聴かれすぎてしまうというか。昨日録ってきたと言われても本当に違和感がない。(流石にメジャーバンドというよりもインディー感出るけども)
 このアルバムから詩人としてのJohn Lennonが爆発し始めた。後のソロまで続く、曲と詩が一体になって"ジョン・レノン〜"という感じの感触が出始めた。アーティスト性の確立の瞬間を目撃したみたいでとても面白い。
 また、有名な話で、アメリカ版の『Rubber Soul』はいくつか曲が省かれ、アコースティックアルバムとしても聴けるように再構築されている。昔、その曲順で聴いてみたらそれはそれでスルッと聞けてしまいびっくりしたことがある(今回これでも聴いてみたらこっちのほうが好みだった)。思うに、The Beatlesの普遍性はここがスタートなんじゃないだろうか。

渡田

 曲の雰囲気は今までとはかなり異なる。彼らが聴く人に与えようとしているものが以前のアルバムとは全く違うのだと思う。ライブで盛り上がってもらうための音楽ではなく、人を言いようのない不思議な気分にさせるための音楽を作っている感じ。というより、単純に本来やりたかったことをやっている感じ。
 のんびりとした気ままなアコースティックな音を主軸に、低く伸びるコーラスとかサイケデリックなエコーの音とか、ビートルズならではの個性が盛り込まれている。
 アイドルとしての印象から解放されて、彼ら本来の姿で休暇を楽しんでいるかのよう。

次回予告

次回は、B.B. King『Live at the Regal』を扱います。

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#音楽
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