Creedence Clearwater Revival『Cosmo's Factory』(1970)
アルバム情報
アーティスト:Creedence Clearwater Revival
リリース日:1970/7/8
レーベル:Fantasy(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は413位でした。
メンバーの感想
The End End
空気のたっぷり含まれたドラムの録り音、ショート・ディレイで弾むギター、カッコいいけれど……流石にもう、この手のやつはもういいよ、と感じてしまってもったいない!バーズやザ・バンド、ゾンビーズなんかと比べてもCCRが一番私に馴染んでくれそうな感じがするので、この企画でこういうサウンドを聴かなくなった頃にまた戻ってこようと思う。
コーメイ
50年代のロック黎明期のサウンドが、1970年でも全然聴けることが分かるアルバムであった。それは、「Travelin Band」であった。技術的なことに関しては見識がないけれども、ボーカルのさっぱりしたがなり、バックの演奏の簡潔といい意味での古さが、話さなくても気まずくない会話のような安心感がある。また、歌詞の内容も流し歌手が登場人物で、とにかく動くことを志向している点と、そこまで演奏自体は速くない点というコントラストも、聴いていて好感を抱けた。このようなアルバムであった。
桜子
「Who'll Stop the Rain」が良い曲すぎて、それまでつまんないな〜〜〜〜〜〜〜〜って思っていたのが覆りました!この曲があるだけで、これは好きなアルバムです!
そう思っていたら次の曲が長すぎてウケる笑。終盤三曲が素晴らしいストーリーテラーの役割を果たしているので、アルバムとしての機能を楽しめて、何周でもループできちゃいそうです。
湘南ギャル
前作より、年季の入ったクールさみたいな、渋さや奥行きを感じられて結構好きだ。と思って気に入った曲のクレジットを見てみたら、ほとんどカバー曲だった。
そして、どうしても11曲目が最後まで聴けない。卒業式でみんな泣いているのに、自分だけ取り残されているような、そんな気持ちになる。どこにも自分が乗り込む隙間がない。誰も悪くないのはわかっているから、私は静かに立ち去る。
しろみけさん
全然ハモプー(ハーモニカプープー)じゃない! このギターのザラついた歪みと深いスネア……お前らツェッペリンを聞いているな!? しかもそれがエルヴィス・プレスリー〜リトル・リチャードというロックンロール黎明期の50’sサウンドのスタイルと同居していて、1970年にしてロックの再文脈化が行われていることに驚く。そして逆説的に、50’sが歴史として固定化されたことにもなる。もうハモプーとかやってる場合じゃないな!?
談合坂
このパッケージで色々なバリエーションを取って練られたタイプのイントロが並ぶのがなんだか面白い。楽曲の冒頭に持ってくるギターのフレーズなんかは思わず手癖に取り入れたくなる感じで、いい塩梅に心地いい。なまじパロディ的な過去のおさらいをやっていないというか、根ざす場所は見えているけどそれはそれとしてかっこいい音楽をやるぞという意気が形になっているように思う。
葱
楽器が上手い。楽器がどう鳴れば1番気持ちが良いのかを熟知している人たちによる演奏に聴こえる。長尺の「I Heard It Through The Grapevine」はその気持ちよさが前面に出ている!5分過ぎ、歌が終わりギターソロが始まった後のアンサンブルの引き算と足し算、でしゃばりと引っ込みの塩梅の整い方。素晴らしい……。
みせざき
ストレートなロックでも、組曲みたいにその延長を見せてくれる1曲目など、またこのバンドの幅広さを感じさせる場面が多く、楽しかった。基調となってるのはブルースやカントリーだと思うが、アウトプットがしっかりロックとして表現されているのが良い。単純でキャッチーだがかっこいい、という一般的だが重要な要素を持つバンドは一番カッコいい。
六月
1曲目から、旧来のロックンロールを丁寧になぞるような完全に感覚が過去を向いている古典的な楽曲が続いて面食らった。後半からは一気にバンドぽくなって(多分ここからB面に分かれているはず)、自分たちの得意分野なのであろう、70年代当時の感覚で作ったロック・ナンバーが続いていく。ロックンロールとロックが同居している(作っている本人達もおそらくそれを意図している)構造から、この時代に正解にされていた方法論や思想みたいなものが一番わかりやすく窺えるアルバムだと私は思った。
和田醉象
前にも彼らの作品を聴いたけど、今回のはなんか力強くなったよね。もうちょっとルーツ思考で大人しめで、でも曲自体に輝きがあって楽しいというのがCCRのイメージだったけど今度のはボーカルが脂ぎっていて"ノッテこい!"みたいなパワーを感じましたを
曲自体もダイナミクスを意識した作りになってて、ライブ映えしそうな曲が増えたように感じる。これは彼らが重視するものが変わったからなのか、世間の流行りなのか。
渡田
前作の『Willy and the Poor Boys』に比べて機嫌が良さそう。前作の皮肉めいた雰囲気も抑えめで、生き生きとカントリーやブルースを弾いて、本来はこういうことがしたかったバンドなのかと思う。メロディやフレーズは凝ったものが多いけれど、その弾き様からは憑き物が落ちたような軽々しさを感じた。
前作の方が好き。
次回予告
次回は、Brack Sabbath『Paranoid』を扱います。