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Grateful Dead『American Beauty』(1970)

アルバム情報

アーティスト:Grateful Dead
リリース日:1970/11/1
レーベル:Warner Bros.(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は215位でした。

メンバーの感想

The End End

 やる気が無さそうすぎる。油断しているとこのアルバムに飲み込まれて、あらゆる瞬間でたった今の快感だけを優先して生きるようになってしまいそうだし、資本主義経済の中で常に成長を志向する倫理から降りてしまいそう。
 仕事を始めて1年半が経ち、ビジネスの論理の中で40年以上もやっていくことに耐えられるか……?と少し不安を持っていたのだけど、それでも、このアルバムの景色の方が私との間に大きな距離を持っていると感じた。堕落は、私にとって非現実的だからこそ、ロマンなのかもしれない。

コーメイ

ヒッピームーブメント中で、だいぶん味付けが優しいアルバムであったと思われるアルバムであった。しかし、ただ優しいすぎると思われる箇所ーコーラスなどーがあり、もう少し、満腹感の出るものをとりたかった。そのため、途中から、終わりを大分意識して聴いた。そのようなアルバムであった。

湘南ギャル

 軽快だね〜。自分がいる場所と余りに遠くて、イヤホンで聴いてても10メートル先で鳴ってるみたい。広い芝生でスキップしながら聴きたいな。そういう生活がまさに遠いんだけど。

しろみけさん

 『Workingman's Dead』から5ヶ月後のリリース。脂に乗っているバンドの、良い意味での一筆書き感が堪らない。最初に聞いた時は"またカントリーか……"と幻滅しそうになったが、フォークやソウルの影響をたっぷり受けてまろやかに仕上がったことにより、"雄大"という印象だけが残った。思うに、ローリング・ストーンズはこういうことがやりたかったんじゃないか? そして、グレイトフル・デッドほど切実でなく、器用でなかったからこそ、愛すべき存在になれたのでは?

談合坂

 映画のなかの、しかも新しめの映画でちょっと古めかしいものとして出てくるダイナーのなかで流れている音楽、というのが第一印象だった。なんか、もうリアルタイムではなく歴史となった60年代が既に素材となっていて、それを正直に使ってきっちり作られたみたいな丁寧さがあるように感じる。21世紀に60年代をオーダーしたら出てきそうなイメージ。聞き手の側としてそういう固定観念を超えると楽しくなってくる予感がする。

 バラの品種に"アメリカン・ビューティー"というものがあるらしい。ケヴィンスペイシー主演の映画をパッと思い出したけれど、そちらも薔薇の品種から。繁栄の象徴でもあり、官能の象徴でもあるらしい"アメリカン・ビューティー"という薔薇の名前から取った本作は一見爽やかな風体の曲の中に、どこまでも諦めてしまったような退廃さが滲む。

みせざき

 前回よりもバンドサウンドを取り入れていることでより親しみやすい形に見えた。またこういうアメリカの田舎を感じさせるメロディー、サウンドの緩さというのは、自分がアメリカ寄りのサウンドが好みであることに繋がりそうな気がした。この脱力感というのは他に代え難い魅力を伴ったものに感じた。

六月

 今回、Greatful Deadを本当に初めて聴いたのだが、何故聴かなかったのかということを考えると、なんかオルタナ好きの少年としては、どっかでその名前を仮想敵としてた部分もあっただろう。じゃあ実際聴いてみてどうだったかというと、まあ予想通りというか、これまで知ったかぶりで得ていた知識以上の発見はなかった。ところどころ、ビビっときそうなギターの音はあるのだけど、日本人がこの音楽を心から良いっていうのは流石に嘘だろって芸人の永野みたいな意地悪な気持ちになってしまう。

和田醉象

 前聴いた『Workman's Dead』に比べるとメロディやリズム隊がかなり明瞭で聴きやすかった。ただ苦手意識は拭えない……
 そもそも結構カントリーチックな音楽を聴いてきた経験がなく、やっぱりあんまり良し悪しが分からない。前のよりは良いと思えたけど、耳を通り抜けていくから聴き終わった後であんまり覚えられない。うーん……

次回予告

次回は、Derek and the Dominos『Layra and Other Assorted Love Songs』を扱います。

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#音楽
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