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Meters『Look-Ka Py Py』(1969)

アルバム情報

アーティスト: Meters
リリース日: 1969/12
レーベル: Josie(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は415位でした。

メンバーの感想

The End End

 走りたい時に走って、モタりたい時にモタるようなドラムに、ほとんどずーっと、もはやこれは"間に合っていない"まであるのでは?というほど後ろノリのギターと、輪郭がなく中身だけがあるようなサウンドのベース。ガチャガチャしているのに不思議とまとまりがあって、1曲目の跳ねてるのか跳ねてないのか微妙なノリとか、なるほどドクター・ジョンが起用するわけだなと合点がいく。
 派手なソロプレイはほとんど見られない薄味のアンサンブルなのに、全く退屈の気配なく32分が過ぎ、気づくともう一度1曲目を再生している。非常にご機嫌。

コーメイ

 小気味良いテンポで進んで行ったアルバムであった。とくに、変幻自在なドラム、鍵盤、要所でのギターが綾を織り成していた。リスナーは、これらの要素に自然と乗っかり、最終地点まですんなりと到達出来る印象である。要するに、飽きが来ず、初めから終わりまで楽しめるアルバムということになる。

桜子

 ミーターズ号に乗ってどこまでもゆこう!!!!!!!このグルーヴは止めるまで続きます。
 楽器は表現の道具で、音を聴いて自分がどう感じたか、それをフィードバックさせて練習しないといけないなあとこれ聴いて思いました。

湘南ギャル

 休符も音楽の大事な一要素なんだってことを思い出させてくれる。たとえミーターズの曲に音階がなかったとしても、そこにグルーヴはあるだろう。一音、一休符、一フレーズから、こんなにも色んな色が出てくるのかと感動する。かねがね、「Cissy Strut」のフレーズの中に閉じこもって一生ループの中で踊っていたいとは思っていたが、今作もそのように思わせる心地の良さがあった。

しろみけさん

 初っ端からドラムパターンが変則すぎる。しかもフェイザーかかってる? MPCでポンポン遊んでるのと変わらないというか、どんなライミングでも乗っけてしまえそうというか……というより、全てはここから始まったのか??? その後も続く極上のサンプル。バックビートの在処がわかるのに、触ろうとした瞬間に砂になってサラサラ消えてしまいそう。頭じゃなくて体が覚えるタイプの音楽の究極系。

談合坂

 フロアで知り合いどうし喋ったりスマホ見たりしている人たちがいつの間にか手を止めて、音の出る先に意識を集中させている。現代で言うならそんな光景が見られそうな、その場を支配する力がある。ただただ反復するのではなく、絶えずパターンを変化させながら特定の状態に入り込む。あまり私自身理解しきれている語ではないので使うのが憚られるけど、これってグルーヴとしか言いようがないんじゃないか、と直感が言っている。

 表題曲でボーカルが入るタイミングが完璧すぎる。変則的なドラムパターンとノリの中でリスナーが求めるドンピシャのタイミングで"ウッ"と発せられた声に思わずサムズアップをしてしまった。全編を通してメロトロンの引き伸ばされたサウンドに切り込むリズムの豊かさが印象的で、その掛け合いを楽しんでたら終わってしまった。寂しい。

みせざき

 泥がありながらもノリやすさがあり、ファンカデリックよりもとっつき易いという印象がある。正直セカンドの方がだいぶ好みだが、こちらはドラムのもたつきようがいい具合にグルーヴとして消化されており、素晴らしいと思った。右側からしか聴こえてこないステレオさもスウィングの迫力がより伝わり易い。
 ほぼインストだけれども、美味しいグルーヴと数々の気持ち良いフレーズを聴き回せる作品だと思った。

六月

 こんなもん、マネしてくれ、サンプリングしてくれって後世の人間に言ってるようなもんだと思うくらいオイシイ、フレーズやらグルーヴがてんこ盛りにされてる。 個人的には音が鳴らされてない瞬間、いわゆる間において学ぶことが多いと思う。こういう教本になり得るようなアルバムは堅苦しくなりがちなのだけど、単純にキャッチーだし、プレイタイムも短いので聴きやすい。

和田醉象

 俺がメトロノームなら、自分でノセるんじゃなくてこの人らの音に合わせて揺れていたい、そう思いますね。
 全体的にネバネバしてる。シンコペーションが効いていて、ブレている。ドラマーがグルーヴをかき混ぜていて、ベースも含めて他のメンバーがそこに乗っかってる感じがする。このドラマー!なんてキメの明暗やタメ、流し方諌め方が上手いんだ。多分合気道で言ったら相当な達人だ。どんなプレイヤーもあっさり料理されてしまうだろう。
 デッドな感じであんまり響きの広がりとかライブ感は感じないけど目の前で音を出しているのを感じれる程度には身近な音に感じた。親しみやすい。この手のファンク的な作品ってBGMにできないくらい圧が強いものが多いけど、手足ブラブラさせながら耳にしたり、壁によりかかりながら本を読むことができる。そのくせして、興味を持って覗くと手を引かれて深淵へ持っていかれる。そうなるとどんな作品よりも集中して聴かなくちゃいけない難しい作品に早変わりだ。半端ないぜ。

渡田

 サンプリングの元になる音がずっと鳴っている。
 いろんなバンドを見ていると、みんな自分が普段聴いている音を色々再解釈してオリジナルのアイデアを見せてくれるけれど、この音楽は他の音楽を取り入れて個性を見せるというより、却って他人に参考にしてもらうことを目的しているように思える。

次回予告

次回は、Stooges『Fun House』を扱います。

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