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Base Ball Bear『C』(2006)
アルバム情報
アーティスト: Base Ball Bear
リリース日: 2006/11/29
レーベル:東芝EMI(日本)
今回の選者はThe End Endです。
メンバーの感想
The End End(選考理由)
“洋楽からの影響を日本人がどう出力するか?”というテーゼと、今に至る“日本のロックバンド”像の雛形を定着させたバンドのひとつであることと、歌謡曲の伝統を引き継いだソングライティングによって成立していること。この3つのバランスが、抜群に優れているからです。
そして私の青春だからです。“好きなミュージシャンのルーツを辿る”という聴き方の、最初の入口になってくれたバンドで、単純に、音楽大好きな友達9人に腰を据えて聴いてほしかったから。初めて聴いてピンときたあなたや、ある時期以降追いかけていなかったあなたは、ぜひ最新アルバム『DIARY KEY』も聴いてみてくださいね。
桜子
これは人によってはすごく嫌な感想かもしれませんが、私が中学生の頃に聴いていた、10年代邦ロックのような印象を受けました。
それは、どこか垢抜けていない青臭さがあるんだけど、嫌いじゃない感じ。むしろ好き。
こういうのを選んで聴いてきたんだ。
考える前に、好きか嫌いかで聴いていたあの頃の気持ちを思い出す。
10年代邦ロックにも、しっかりルーツがあって、歴史があったんだなと、2006年の、このアルバムを聴いて理解できた。
俊介
明らかに瑞々しい!
90sの邦楽のいいところがグッとオマージュされてて想像より聞きやすかった。
小出祐介のメロディセンスってなんなんでしょう、取っ付きずらさと聴きやすさが同居してる感じ。
湘南ギャル
邦ロックの雛形という感じがする。これが最近の作品に対して向けた言葉なら確実な悪口なんだけど、驚くのはこの作品が2006年発なこと。そんなんもう比喩とかじゃない、ガチの雛形じゃん。こういったタイプの音楽に親しみを持てる性格をしていないからか、溢れ出るパワーに圧倒されてしまう。でも、ブルーハーツに対しても三周目くらいまで同じ感想を抱いていたので、急にめちゃくちゃ好きになる瞬間が来るかも。
しろみけさん
“あれ?俺、こんなLINEしたっけ?”ってなる青い歌詞。「Electric Summer」の″君が書いた詩に/俺が曲をつけてくように弾ける″とか「STAND BY ME」の″やり残したことが思いつかない/完璧な少女に逢えたから″とか、キザにも程がある文句がバンバン出てくる。それがアマチュアリズム溢れる疾走感と相まって、完全にはカッコついてないからこそ良いというか、顔真っ赤でめっちゃかわいい。このキモさと歌い方、この人もしかして岡村ちゃんとか好き?
談合坂
すごく個人的な話だけど、ギターを初めてから少しした頃の小学生時代にバンドなるものの音楽を知ってみようとツタヤで借りて聴いていたアルバムのなかにこれがあった。当時は今改めて聴く音とは全然違うものを聞いていたと思うけど、iPod nanoとかMDとか、テレキャスへの憧れとか、あの時のことが一気に蘇ってきた。
どこか落ち着かない不思議なメロディーラインとギターのフレージングになんともいえない浮遊感を覚える。バンドサウンドでなかったらここまで形を保っていられる気がしない。バンドってもんを知るのにすごくいいアルバムだと思う。
葱
一度もBase Ball Bearを聴いたとが無い人でも「C」を聴いたら「懐かしいな」とため息をついてしまうんじゃないかしら。というか、知らない青春が蘇る。さらに言えば中学のときにベボベを聴いていた時も「共同幻想としての青春」を体験しているように聴いていた。演奏はキレキレだけど足を絡ませながら展開していくような手探り感、分かりやすくすぐ歌いたくなるメロディーは時に突き抜け切らず耳の上あたりで滞留する。制服を着ている時期の悶々とした無敵感、みたいなうまく言葉に出来ないニュアンスを多分に含んでいる。ベボベはベスト盤ばかりをひたすらに聴いていたのですが、オリジナルアルバムもベスト盤みたいにひたすらハイライトが続くような展開でウキウキしてしまった。任意のアーティスト名を挙げて「C」を因数分解しようと思えば出来そうだけど、そうやって分析したくないくらいバンドとして纏まりが強い。音というより全員でガッと音を出した瞬間がシグネイチャー。ずっと4人でバンドをしてほしいと思ってしまう。勿論3人になった後のベボベもかっこいいけれど。
みせざき
自分があまり身を入れて聴いて来なかった邦楽であり、こういうのを聴くべき時にレディオヘッドとか聴いてしまってたので、もっとベボベのような正統派邦ロックをしっかり聴いていたらまた違う音楽観が生まれたのかなと思いました。ちゃんとギターからリードしてても、バンド全体でバランス良くサウンドを奏でる感覚が凄い心地いいなと思いました。
和田醉象
これが2006年?!かなり新しい感性しているな。
ドラムは4つ打ち的なかなり忙しい感じ。これを選んだのはThe End Endくんなんだけど、彼が好きなXTCのBlack Sea的なものをしっかり感じるというか。ギターはところどころナンバーガールですね。(GIRL OF ARMSのイントロはザゼン過ぎる)
KANA-BOONとかやることになる邦ロックのあの路線ってここが出発点なのだろうか。
一枚に煽情的な曲もあれば、落ち着いたのりの曲も入ってるのがほんと日本のバンドって感じ。若え。
渡田
こういう曲を久しぶりに聴きました。
かっこいいギターリフから始まって、爽やかでシンプルな比喩の歌詞が始まって、溜めが入ったあと一気に展開するサビとか、サビの後のギターソロとか…高校生の時に抱いた、原初の軽音楽への憧れを掻き立てられる。
自分はケレン味のある音楽が好きだから、こうした分かりやすくカッコいい音楽には白けた態度を取りたいのだけれど、油断すると大好きになってしまいそう。
次回予告
次回は、桜子の選出アルバムを扱います。
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