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Derek and the Dominos 『Layla and Other Assorted Love Songs』(1970)

アルバム情報

アーティスト: Derek and the Dominos
リリース日: 1970/11/9
レーベル: Polydor(UK,Ger),Atco(US)
「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は226位でした。

メンバーの感想

The End End

 あとナンボほどこういうの聴いたら良いんですか……?アメリカ人もこの頃にはもう飽きてただろ(?)ギターも歌も、仲良くなれる気がしないというのが率直な感想だ。こんなに感情を誇張されても、ザコシじゃあるまいし楽しくない。。。普段、感情に身を任せることがほとんどないタチだから、余計に。あと長いし。

コーメイ

 「Layla」が収録されているアルバムであるけれども、全体的に散漫な内容になっていたと思われる。アルバム1曲目のインパクトも薄く、他の曲が与える強さというのもあまり感じ取れなかった。その後も聴き続けたけれども、なぜか引っかかるところがない。本アルバムで一等有名な「Layla」も、全体としては、冗長であり、イントロのリフでなんとか頑張っているようであった。

湘南ギャル

 自分の元気が120%あれば最高のアルバムに聴こえるし、それ以外の時だと1分も聴いてられない。ピーキーすぎるよ。そして、元気が有り余ってる時なんてほとんどないし、例に漏れず今日もそうだった。一番聴いて途中停止、二番聴いて途中停止、曲間で深呼吸。それを何度も繰り返した。そうでもしないと、身体ごと吸い込まれるような気がした。「Layla」に行き着いた時は、まるで富士山の山頂まで登り詰めたようだった。達成感で気持ちよくなりながら「Layla」を聴いていると、これってやっぱ最高の曲!みたいな気持ちになる。登山にハマる人ってこんな感じでしょうか。

しろみけさん

 これがライブ盤だったらイカしてると思う。クラプトンの鋭いギターソロに沸くオーディエンスたち……という図まで一緒に見せてほしい。じゃないとただの冗長なブルース集。構成にひねりがあるわけでもないし、「Layla」以外は事によると全部同じに聞こえる(それが良いんやろが!の声があるのは重々承知の上で)。そんでもって「Layla」がクサすぎる。リフ一発で分からせる大味な曲が他に収録されていない分、この曲のムサ苦しいエグ味が強調されている。「Layla」が後まで残る曲になるのは頷けるが、アルバム全体で聞くとこんなにタルいとは……というか、タイトルからして、他の曲を捨て曲みたいな扱いにしてるのはいいの?

談合坂

 70年代入りたてという雰囲気をあまりまとっていないような気がする。もうすこし後年というか、ポップミュージック然とした音楽がすっかり出来あがった後のポップのバイブスっぽさを先取りしているような。シンプルにデカく提示される構造とドラマチックさの追求。あらゆるギターのフレーズが歌にして口ずさめそう。声でたとえるようなトーンではないというのに。ギターの二人みたいなやり手のメロディメイカーになれたら気持ちいいだろうな……

あんまり面白く無い音楽に聞こえた。五角形全部のステータスが4みたいな。そして自分は別に上手いギターみたいなものに興味が無いのだと分かる。音響的に面白いギターや、曲を引き立たせるための裏回し的なギターは好きなんだけども、ギターですぜ!のようなプレイを積極的に聴く気にはならない!

みせざき

 エレキギターを初めて手にした中学生の頃にテレビで観た、クラプトンの武道館のコンサートでは、結構このアルバムからの選曲が多かった。だから今聴いても大方の曲が凄く懐かしく感じる。
 所謂ストラトを使うクラプトンのプレイが初めて世に出た(?)瞬間で、このトレブリーさに感情が覆い重なったギターサウンドがその重荷を背負っていると感じる。
 ちょっとどこまでがオリジナルだったかは忘れたが、ソングライティングの良さと、感情を授けたボーカルとの良い塩梅で届けられている感じが好きだ。特に「I Looked Away」は初めて聴いた時凄く嬉しかった。
 あと意外にデュアン・オールマンとクラプトンが聴き分けられない瞬間もある。久々に聴いたらデュアン・オールマンみがあまり無かった。デュアン・オールマンのギターがリードとしてだけでなくバッキングとか割と脇役としても発揮できるタイプなのだと分かった。
 曲は長いが、それが悪いとか冗長とかは感じない。感情とインプロビゼーションに任せるのがそもそもブルースの形であるのだし、無駄だと思う瞬間は全然無い。ブルースが無ければロックなんて存在しないのだから。そもそもクラプトンとはブルースを一番、一般リスナーにも分かりやすい、最も普遍的なアウトプットで確立した人なのだから。

六月

 うーん、好きではない。だけどイメージしてたよりも牧歌的で親しみやすい音が鳴らされる瞬間も少なくない。それは、Led Zeppelinを筆頭にした、ブルースの異化ではなく、ブルースそのものに回帰していこうとしているところから表れているものだからだろう。
 なんか、桑田佳祐あたりが自分の楽曲でやる"これはロック調の曲ですよー"ってこれみよがしに表明して見せる時に使うギターの音って、このアルバムの音を参考にしてるのかも、って思った。あの年代のロックミュージシャンを目指す人にとっては高嶺の花だった音だったのかな。

和田醉象

 一通りアルバムを聴いてみてまず思ったのが"エリック・クラプトンは大したやつだ"ということだ。彼のCreamやらBlind Faithでや活躍はこれまで耳にしてきたことはあったけどあまり合わなかった。単純にジャンルとしての好みの話だと思う。その点このアルバムは割と内容がわかりやすくてとっつきやすく、スルッと聴けたし、クラプトンの真髄にほんの少しだけ迫れたような気がする。
 何に対して大したやつと判断しているのかというと音楽人としての総合力だ。ソングライティングからボーカル、ギターのプレイングまでの表面的なところから、曲を作った背景だ。今回聴くに当たって初めて知ったが、『Layla』はビートルズのジョージ・ハリスンの奥さんに惚れたから作ってしまったという。その背景込で聴いてみるとめちゃくちゃに芯に入ったラブソングとして聴くことができた。とても感動した。クラプトンって「Tears in Heaven」だとか、割と曲を作るに当たってエピソードがたくさんある人だと思ってたけど、それを具体的に知った状態で聴くとかなりどぎついものもあってハマれそうだ。そこからプレイングやギターの渋みの先にある深さに気づけそうだ。

(引用する曲名に誤りがあり、修正いたしました。)

次回予告

次回は、Velvet Underground 『Loaded』を扱います。

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