1日1文化財コンテンツ No.5 井伊直政像
使える文化財のデジタルコンテンツを紹介。
No.5は井伊直政です。
No4で松平忠吉の像を紹介しましたが、今日はその義父である井伊直政の像を紹介します。
直政の部隊は、旗や甲冑が赤で統一されていたことから、「井伊の赤備え」と呼ばれていたことで知られています。
本画は、豊臣秀吉の軍勢と徳川家康が戦った長久手の戦いを描いた屏風絵の一部で、下絵段階であるため、彩色が施されていないところが多くありますが、直政周辺の武士の旗が赤くなっているところから、直政の赤備えを描こうとしていたことがうかがえます。
当の直政には彩色がほぼ施され、敵将を掴まえ討ち取らんとする様子が描かれています。朱塗の甲冑を身にまとう直政の姿も、「井伊の赤備え」を表現しているように思われます。
ただし、直政の所用とされる甲冑・朱漆塗仏二枚胴具足や朱漆塗紺糸威桶側二枚胴具足とは異なり、兜は鍬形の前立てで、ドラマなどで直政がかぶっている兜によくみられる天衝脇立(兜の横から出ている角のようなもの)がありません。
天衝脇立の兜は、関ヶ原の折もしくは、子の直孝が着用していたものとされているため、長久手の戦いの折はかぶってなかったのかもしれませんし、そもそも直政は着用していなかったかもしれません。屏風絵にみえる兜と所用兜の違いは、このあたりで止めておきましょう。
ちなみに、直政の肖像は、彦根城博物館に存在しますが(https://hikone-castle-museum.jp/collection/342.html)、衣冠束帯の姿で甲冑の姿ではありません。
朱色の甲冑を身にまとう直政像。他にもありますが、個人的にはこの姿に惹かれました。直政といえば天衝脇立の兜を着用し戦場を駆け巡る姿がよく描かれますが、戦場での直政の姿を文化財を通して伝えるならば、このコンテンツが使えるのではないでしょうか。