アルパイン登山ーMt. Olympus in Olympic National Park
先週、Olympic National Park (オリンピック国立公園)内の最高峰、Mt. Olympus (オリンパス山) に登頂しました。これほどキツイ登山は初めての経験でしたが、頂上からの眺めは素晴らしく、全ての苦労を忘れさせてくれるものでした。
この登山は The Mountaineers が提供したもので、リーダーとサブリーダーを含む6人のパーティーで、3泊4日のスケジュールで登ってきました。キャンプや登山の許可証などのルールは国立公園ごとに異なりますが、この Mt. Olympus 登山では登山許可証やキャンプ地の事前予約が必要です。他にも、クマやその他の野生動物、鳥類がテント内の食料品を漁りにくる可能性が大いにあるため、特別な缶や袋にいれて木から吊り下げるなどの対処が義務付けられています。また、大きいものをもよおしても、必ずキャンプ場にあるトイレを使用しなければなりません。トイレがない場所ではビニールにいれるなりして持ち帰るルールとなっています (少なくとも、Mt. Olympus 登頂を目指す人達は、それ用の特別なビニール袋を持参している)。
1日目
Olympic National Park の西側にある Hoh Rain Visitor Center (Hoh、ホウみたいな発音) を7時に出発し、約23キロ先のキャンプ地を目指します。最初の約18キロは比較的平坦なトレイルを歩き、この間に登ったのはわずか300メートルほどでしたが、最後の約5.5キロで一気に1,020メートルの登りとなり、初日から過酷な登山となりました。実は当初のプランでは、このキャンプ地からさらに5キロほど上にあるキャンプ地を目指していたのですが、雨脚が強く、下山してきた人たちから蚊が猛烈に多いとアドバイスを受け、またメンバーの一人の体調もいまいち優れなかったため、予定していたキャンプ地を断念しました。予定では Martin Creek Glacier Meadow キャンプ場に宿泊するはずでしたが、実際には Elk Lake キャンプ場で初日を終えることになりました。この日は夕飯を早めに済ませ、テントを設営し、20時頃には就寝しました。
2日目
Elk Lake キャンプ場を6時に出発し、約8キロ先のベースキャンプ地を目指します。行程の約半分はトレイルを歩き、残りの半分は氷河帯での登山となり、標高を約1,100メートル上げます。初日に比べると体への負担は少なく、特に氷河や雪渓帯での風景に目を奪われ、夢の中を登山しているかのようでしたが、太陽が顔を出すと、そこはオーブンそのもので、ジリジリとした熱に水分も体力も奪われ、結局、登山には楽は無いようです。それでも、仲間とお互いをロープで繋ぎ、アイゼンやピッケルを使用しての登山は、プロや大学登山部に所属しているような人しかできないものだと思っていたので、まさか自分がドキュメンタリー紀行に登場する登山家のようなことができるとは、もう興奮と喜びが溢れました。ベースキャンプを張ったのは、標高約1,860メートルの地点で、CalTech モレーン(氷堆石の意味)と呼ばれる岩場です。記憶があやふやですが、CalTech モレーンの由来は、この近くに氷河を調査するための小さな無人観測所があり、60〜70年前、カリフォルニア工科大学(通称 CalTech、マサチューセッツ工科大学と並ぶ超名門工科大学)がここで調査をしたことに由来するようです。到着後はテントを設営し、その後はフィルターを使用して水の補給、夕食、ベースキャンプの側をちょっと散策し、翌日3:30の出発に備えて20時頃には就寝しました。
3日目
私は2:30に起床し、速やかに身支度を整えてテントの外に出ました。ベースキャンプは雲の中で、風はやや強かったため、長袖Tシャツ、フリース、パフジャケット(薄手のダウンジャケット)、そしてウインドブレーカーを羽織る必要がありましたが、それでも予想していたほど寒くはなく、本当に助かりました。その後、アイゼンを装着し、カロリーメイトのような栄養エネルギークッキーを無理やり口に押し込んで準備完了です。
3:30、ベースキャンプから、各自のペースで一気に Snow Dome と呼ばれる雪渓の尾根に向けて登山を開始しました。ここは斜面が急で、ロープチームでの登山では時間がかかると考えられたため、このセクションは『個人戦』です。私も仲間に必死で食らいつき、45分ほどで Snow Dome の尾根に到達しました。この尾根伝いに Mt. Olympus へとアプローチしますが、ここからは再びロープチームでの登山です。
途中で日の出を迎えましたが、雲の切れ目から朝日の輝きが差し込むくらいで、なんとなく薄暗い状況が続きました。その後、数回の上り下りを繰り返し、頂上の麓に到達しました。最後のおよそ40メートルは急斜面のため雪がなく、ロッククライミングで頂上を目指します。岩場自体は初めてのロッククライミングでも登れるような易しいものでしたが、安全のためリーダーがロープ(命綱)を設置し、その後、残りのメンバーも登頂を果たしました。
Mt. Olympus の標高は2,429メートルとそれほど高くはないにも関わらず、氷河や雪渓が広がる中を登り、その頂上からの眺めは素晴らしいものでした。頂上で1時間半ほど風景や登山の余韻を満喫した後、一気にベースキャンプまで下山しました。テントを撤収後、初日に泊まった Elk Lake キャンプ場まで戻りました。(オーブン状態ではあったものの) 氷河帯の下山は本当に楽でしたが、その後のガレ場 (岩だらけ) のトレイルはひたすら苦行でした。足の裏へのダメージが甚大で、疲労感よりも足の痛みでぐったりしながら、17時頃、キャンプ場へ到着しました。
遂に Mt. Olympus 山頂、標高 2,429 メートル!
蛇足ながら、私が登頂を果たした瞬間、先に登頂していた2人の仲間が『映画 ロッキー』のファンファーレで出迎えてくれました。
4日目
最終日は、Elk Lake キャンプ場を6時に出発し、来た道をひたすら戻り、12:15頃、無事に登山口まで戻りました。最後の8キロほどはふくらはぎへの疲労もきつかったですが、それ以上に肩の痛みが強く、他のメンバーも半分悲鳴を上げていました。最終日の写真はありません。もう疲労困憊で、登山口まで戻るのに精一杯でした。
最後に、今回の登山パーティーメンバーは、私が最年長の51歳、続いて40歳、32歳が2人、30歳、そして27歳の構成でした。さすがに20歳差は厳しく、チーム装備の分配では(ロープ、食事のためのストーブ、その他もろもろ)、私は軽めのものを担当しました。また、本当はロープチームの先頭や最後尾からだと、もっとカッコいい登山写真が撮れたのですが、登山ペースについていくのに必死だったため、ロープチームでは常に真ん中要員でした。
次回(今週末予定)のアルパイン登山記録も読んでいただけると嬉しいです。
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