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ベトナム日記2
ベトナム滞在1日目、僕は宿を取っていなかった。理由は上手く説明できない。
ひとまずベトナムで夜通しやっているミュージックバーに行った。
そこは現地のベトナム人、観光客、売春婦など、あらゆる人種で溢れかえっていた。
ノリ方もわからないベトナムのダンスミュージックをあてに酒を飲んで一夜を過ごすのも悪くはないかもしれない。
そう考えている矢先、1人の南米人らしき女性に話しかけられた。
「Let's dance with me!」
異国の地でさらに異国の女性にダンスを誘われるという未知を未知で重ねる初めての経験に戸惑いを隠せないまま、ダンスはレッツした。
「Are you japanece? I'm Arugentina!」
アルゼンチン人だと女性は云う。なぜか日本人の僕に興味があるようで、
会話を重ねる度にダンスは加速する。
「You are so cool!””””””””””」
その後に続けられた言葉は聞き取れなかったが、
その言葉の後にはすでにもう僕は彼女に唇を奪われていた。
そこからは言葉を交わさず
言語を超えた激しい口付けを交わし
ひたすらに口付けを繰り返すのだが、
なにせ僕が知っている日本の口付けのリズムではない。
その独特のリズム感はアルゼンチンを代表するフォワード、イグアインを彷彿とさせる南米特有ドリブルの様で、見事に翻弄させられていた。
日本VSアルゼンチン。日本を背負って戦っている様な気分になり、負けじとドリブル突破を試み、
アルゼンチン美女というゴールにシュートを決めないといけないという謎の使命感に駆られた。
ただ僕はシュートパターンを持ち合わせていない。
「I love you!」?違う。あなたが好きだと伝えただけではそう簡単にアルゼンチンディフェンスは崩せない。
「I want to go my hotel with you!」?
違う。一緒にホテルに行きたいなどという浅はかな下心は王者アルゼンチン相手には通用しない。
あらゆる攻撃パターンの試行錯誤の結果、
ひねり出した答えは、
「I want you tonight」(私は今夜あなたが欲しい)
、、、。
一沈黙
日本語でも発した事のない言葉をサッカーボールを蹴るように思いっきり振りかぶりドヤ顔でインステップで王者アルゼンチンにぶつけた。
アルゼンチン人はそっと口を開いて、
「スミマセん。ダメ」
と今までの異国語でのやりとりが嘘だったかのように、カタコトで的確な日本語を使い、
僕の攻撃を一蹴した。
王者アルゼンチンとの対決はまさか、
相手のカタコトで的確な日本語により惨敗したのであった。