銭湯151軒目の男。
三軒茶屋にある八幡湯という古くからある銭湯で1人の中年男性に突如話しかけられた。
年齢はおそらく40歳前後。体型は小太り。
コロナでの自粛期間を機に銭湯巡りを始めたらしく、今日で銭湯151軒目とのことだ。
その男は僕との会話を終えると、すぐさま次の行動に移った。銭湯でのルーティンが確立されているのか、全ての行動に一切の無駄がない。
僕にはその男が何かに追われてるような、そんな焦りすらも感じとれた。
そして入浴を終えたその男は体を拭きながら、
ゆっくりとこちらに近づいてきてこう言った。
「はー今日も疲れた。」
40前後の中年太りの男は銭湯151軒目にして、
「疲れを取る」という本来の目的を見失い、
銭湯に行くという「行為」に疲れていたのであった。
本末転倒とはこの男に使う為に出来た言葉なのかもしれない。