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シリーズA資金調達・新ストックオプション制度設計の裏側 ー 令和トラベル1人目法務の挑戦

こんにちは、令和トラベルPR Unitです!

令和トラベルは、2024年9月9日にシリーズAラウンドにおける約48億円の資金調達、またAIソリューションのリーディングカンパニーであるPKSHA Technologyと資本業務提携を発表いたしました。

▼資金調達に関するプレスリリースはこちら:

▼PKSHA Technologyとの資本業務提携についてはこちら:

これを記念して、令和トラベルにおけるあたらしい旅行体験への取り組みや、「旅行×AI領域」への投資と技術的チャレンジ、また組織づくりにおけるプロセスや取り組みなどについて、9月10日から2週間にわたり「NEWT Advent Calendar」を開催しています!

本日は、 “1人目の法務” として令和トラベルにジョインし、2024年4月からスタートさせた新株式報酬制度の設計・実行や、今回のシリーズAにおける約48億円の資金調達プロジェクトを推進した安倍のインタビューをお届けします。

安倍 正晃(あべし):大学院を卒業後、社交ダンスの講師を経てアパレルブランドを展開する外資系企業にて法務としてのキャリアをスタート。その後、株式会社マクアケに転職し、法務業務だけでなく掲載審査業務や業務改善など幅広く経験。2024年2月に令和トラベルにジョインし、一人目の法務担当として、一般的な法務業に加え、経営に関わる重要なプロジェクトなども推進。


目指すのは、事業成長を後押しする、“しなやかで強い” 法務


── 本日はよろしくお願いします!まずはじめに、あべしのこれまでのキャリアについて教えてください。

よろしくお願いします!大学院を卒業後、キャリアのスタートとしては、実は社交ダンスの講師から始まったんです。その後、アパレルブランドなどを展開する外資系企業で法務担当としてのキャリアをスタートさせ、その後株式会社マクアケに転職しました。

マクアケでは、それまでの法務担当としての業務と比較して、より事業に寄り添った立場での法務業務を経験を積みました。サービスにおける掲載審査をメイン業務とし、その他にも業務改善や社内フローの整備にも取り組み、幅広い経験をさせてもらいました。

そうした経験によって培った知見やノウハウなどを、さらに活かせる環境で働きたいと考え、令和トラベルにジョインしました。


── 事業会社の法務として、多くの選択肢がある中で、なぜ令和トラベルだったんでしょうか?

先ほど触れたように、前職では幅広くさまざまな領域の業務経験を積ませてもらいましたが、一方では「法務業務」から離れることも多く、どちらかと言えば “よろず屋” 的な立ち位置で動くことが多かったんです。

とてもありがたい機会をいただいたなと思いつつ、今後の自分のキャリアを考えたときに、法務としてのキャリアをもっと深めていきたいという想いもありました。法務という専門性を活かしながら、事業により深く関わることができる環境を探していて、令和トラベルと出会いました。

もちろん、転職活動においてはいくつかの会社で検討していました。そのなかでも令和トラベルは、篠塚のメッセージが最もクリアで、目指していることや実現したい世界観、また具体の事業についてもイメージがしやすくて。また、令和トラベルのバリューの一つである「GO FAST -高速でやろう」が、事業もそうですし、組織のカルチャーにも根付いており、すごく魅力的に感じました。

自分のバリューを発揮しながら、法務としてのキャリアを積み上げていける環境という観点で、令和トラベルが最もフィットしたんですよね。


── 入社時のあべしのミッションや役割、具体で取り組んだことってどんなことだったのですか?

“1人目法務” ということは聞いていたので、とにかく全部やることをイメージして入社しました。契約書などはもちろん、広告や各種利用規約などのレビューをメイン業務としつつ、入社1ヶ月ほどでSO(ストックオプション)の設計や資金調達のクロージングといった大きなボールにもチャレンジさせてもらいました。

ミッションという観点では、事業も会社も今後さらなる成長を目指していくなかで、いかに “しなやかで強い法務” を実現していくことができるか、ということがテーマかなと思っています。1人目だからこそ、成功や失敗も含めて自分がこれまでに経験してきたものを還元して良い組織が作れると思っていますし、より事業の成長に関わっていけると思っています。

そういう意味では、法務担当者としてだけではなく、会社の経営にどのように関わっていけるか、事業や組織の成長を後押しする法務としてどうキャリアを描いていけるか、ここが自分にとっては新しいチャレンジだと思っていますし、令和トラベルで実現したいことでもあります。

「SOを紙クズにしたくない」ー 代表篠塚の想いをかたちにしたアップデート


── 入社後すぐに、新ストックオプション制度の設計にアサインされたと思うのですが、どのようなプロジェクトだったのですか?

もともと、令和トラベルでは信託型ストックオプションによる株式報酬制度を採用していたのですが、2023年12月に公表された令和6年度税制改正大綱を受けて、「税制適格ストックオプション」のほうが令和トラベルにとって良いのではないか、という話が出てきました。

篠塚の考えや制度の詳細については、Stock Journalに掲載されて記事(下記)に取り上げていただいていますが、篠塚の中には「メンバーに付与しているSOを紙クズにしたくない」という強い想いがありました。

<参考記事>
「SOが紙クズになる問題」に令和トラベルが新株式報酬制度であえて向き合った話

創業からグロースの初期フェーズにおいて、令和トラベルに自身のキャリアをかけてチャレンジして、会社や事業の成長・発展に寄与してきてくれたメンバーに、事業成長の対価としてきちんと報いたいと考えていたんです。

このような背景で、会社の決算期のタイミングも踏まえて、2024年4月から新株式報酬制度に切り替えるべくプロジェクトが立ち上がり、株式報酬制度のアップデートを進めていきました。


── なるほど。篠塚の想いが背景にあったんですね。株式報酬制度のアップデートするにあたって、どういったところが大変でしたか?

「税制改正大綱」は12月に方向性が示され、3月末に内容が最終確定し、4月から施行されます。一般的な会社の場合、施行されたタイミングから、新しいルールに合わせてどう変えていくかを話し合うのが通常の流れです。

一方で令和トラベルの場合は、2024年4月からの運用を目指していたので、まだ完成していない税制改正大綱の大まかな内容をもとに、専門家と連携しながら株式報酬制度の最適なアップデートについて話し合い、決めていく必要がありました。

ストックオプションの発行は、株主総会や取締役会など会社法的にいくつかの手続きを踏まなければいけないんです。3月末までという締切がある中で、さまざまなステークホルダーの方々と密に連携をしながら、スピード感を持って進めなければいけなかったのは苦労したポイントですね。


── 結果的に、会社として実現したかったかたちに設計できたという実感はありますか?

そうですね。あたらしい株式報酬制度では、ベスティング条件も「入社日や付与日起算で “2年間で20%、5年間で50%” で権利確定し、退職時には権利確定した分のSOを権利行使したうえで普通株として買い取る」という設計になっているなど、篠塚の「SOを紙クズにしたくない」という想いが強く込められたものになっています。

一方で、権利確定するタイミングが人によってバラバラなのでどう管理するか、どう契約内容に入れ込むかなど、設計において難しいポイントもいくつかありましたが、一緒に働くメンバーにとっては、価値を感じてもらえて、会社にコミットする気持ちが高まるものになっているんじゃないかなと思っています。

シリーズA 約48億円の資金調達の裏側 ー 法務という立場から未経験のチャレンジ


── 令和トラベルは 2024年9月9日に、シリーズAでの約48億円の資金調達についてプレスリリースしましたよね。あべしは資金調達のプロジェクトでも重要な役割を担っていたと思うのですが、このプロジェクトの裏側について教えてください。

新株式報酬制度の設計プロジェクトも自分にとっては未経験領域であり、チャレンジングな経験だなと思いながら取り組んでいましたが、資金調達においても同様で、法務的な知識はあるものの、具体のプロジェクトを推進するという点では、一つの大きなチャレンジではありました。

特に苦労したのは、コミュニケーションの面です。出資に関する具体の内容については、篠塚や受田(執行役員)がフロントに立ち推進してくれたので、私はそのあとの決議に関するコミュニケーション面を担当しました。

令和トラベルの場合は、シードラウンドで出資してくださっているベンチャーキャピタル(VC)の存在があり、株主間契約書も結んでいるので、資金調達のクロージングを進めるにあたって、まずはVCのみなさんとコミュニケーションをとらなければなりません。

VCの方々に確約をもらった後に、取締役会や株主総会で決議をとり、そこから新しい投資家さんたちとのクロージングを進めていく.....こういったステップを正しい順序で、かつ手戻りなく確実に進めていく必要があります。最終着金まで、さまざまなステークホルダーと書面のやり取りなどを通して、円滑にコミュニケーションを進めていく大変さは感じました。


── なるほど。そんななかで、プロジェクトを確実に進めていく上で、あべしが特に注意したことや心がけていたことってどんなことですか?

今回の資金調達では、大変ありがたいことに最後まで検討を重ねてくださった投資家も複数いらっしゃったこともあり、クロージング部分は、非常にタイトなスケジュールで進めていく必要がありました。

不確定要素や情報が多いなかで、いかに一次情報を確実に獲得していけるかが重要になってくるなと感じました。私はフロントに立って細かい内容を聞いているわけではないですが、篠塚たちと密にコミュニケーションをとったり、そのほかのステークホルダーと直接やり取りするなど、自分から情報を積極的に獲得していくことでスムーズにクロージングができる状態に持っていく。

また、法務としての立場でありながら、プロジェクトマネージャーに近い動きを求められる場面もたくさんあり、いかに全体感を捉え、双方の懸念点などを密に連携しながらマネジメントしていくことでプロジェクトを円滑に進めていくことができました。

そういう意味では、今回のプロジェクトで、資金調達のクロージングにおいて各社にどのような思惑があり、どのような動き方をするのかなど、この一連の流れを「法務という立場」で経験することができたのは、非常にレアな機会だったと思っています。


安全な軌道のなかで、事業の成長を最大限に。法務としてのあらたなチャレンジとは?


── 入社から半年ほどで、大きなプロジェクトをすでに2つも経験してきたんですね。今後、法務という立場でどんなことにチャレンジしていきたいですか?

旅行業界は、まだまだレガシーな部分が多い業界だと思います。「旅行業法」という規制法令があり、これをもとに各旅行会社が動いているので、基本的には新しいことはすごくやりにくい。

旅行業法には、「オンライン」や「IT・テクノロジー活用」みたいな文言は全く書かれていないので、そもそも旅行はオンラインを前提にしたものにはなっていないんです。そういう環境の中で、デジタルやITを武器に業界に切り込んでいくのは、実はものすごくチャレンジングなことなんです。

そのチャレンジングな取り組みを進めていくにあたって、どういったリスクがあるのか、法令に違反している部分がないか、などを見極めて事業をサポートしていくというのは、法務としてすごくやりがいがあると思っています。

法務の立場として、法律や法令はきちんと理解し、また令和トラベルの事業モデルや強みも熟知した上で、「あたらしい旅行を、デザインする。」というミッションの実現に向けて、きちんとセーフティーネットを張っていく

「これはやってはいけない」「これはやってもOK」というガイドラインのようなものを提示し、安全な軌道の中で会社や事業の成長の幅を最大限まで広げ、どれだけ加速させられるか。法務としては、すごくチャレンジングな取り組みになると思います。

今後も令和トラベルはテクノロジーを駆使して、新しい打ち手をどんどん生み出して行きます。法務という側面から、それぞれの打ち手をきちんと支えていければと思っています。


── それがあべしの目指す “しなやかで強い” ということなんですね。いまは一人法務ですが、これからチームを組成していくにあたって、どんな仲間を集めていきたいですか?

どれだけ “尖った人たち” でチームをつくっていけるかが重要になると思っています。

やっぱり法務の領域にいると、だんだんと保守的な思考に偏ってしまうことが多いんですよね。日頃から法律に触れているので、常に「何をしたらダメなのか」という観点で考えているので、どうしてもルールを破らないように保守的な思考になってしまう。もちろん、それも大事なのですが、それだけでは令和トラベルのようなスタートアップの成長を実現することはできないと思っています。

理想と現実の間で、「どうやって最大限まで理想に近づけられるか?」という思考を常にもっていないと実現できない。

法務という立場としては、守るべきルールを理解した上で、そのハードルをどうやって乗り越えることができるか、アグレッシブに物事を考えることができるか、が非常に重要な要素だと思っています。

そういう意味では、個としてのなにかしらに強みを持ったメンバーが集まり、それが組織として機能するような座組をつくっていきたいですね。

── 最後に、下期に向けて法務としてはどんな役割を担っていきたいと考えていますか?

大きく2つあります。1つめは、今後のさらなる成長を目指す上で、コーポレートガバナンスを確実に進めていく必要があると思っています。

ただガチガチに縛りつけるのではなく、メンバーみんなが動きやすいように、一定のリスクとベネフィットを考慮し、どこまで許容できるのかも考えながら、制度やルールをつくっていけたらと考えているところです。

2つめは、プロダクトの進化やあたらしい機能の実装にあたって、決めるべき物事も増えてくると思うので、そこに対していかに地雷を踏まないようにガイドラインをつくれるか、ですね。安全な部分と危険な領域の境をしっかり見極めて、ガイドラインを提供し、攻めと守りのバランスを取りながら、最大限の事業成長を実現できるように後押しできたらと思っています。

明確な規制法令がある中で、どれだけチャレンジングなことができるか。ここは法務の腕の見どころだと思います。

事業創出など、 “クリエイト” していく部分に対して、法務的な側面からどれだけコミットできるのか。これは、このフェーズの会社だからこそ取り組める部分ですし、そういう創造的な思考が今後どんどん求められていくようになっていくと思うんです。

決まったことを決まったように進めるのであればAIに代替されてしまうので、どこが変数なのかをきちんと見極めて、適切な選択をしながらあたらしいものを創造していける人になっていく。
令和トラベルには、そういう経験が積める環境が用意されていますし、そういった意味で法務部門も例に漏れず強い組織を作り、事業成長を実現するためのさまざまなチャレンジをしていければと思っています


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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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