国民全員に1億円配るとどうなるのか?
こんなツイートが話題になっていました。では実際に1億円配るとどうなるのか、シミュレーションしてみようと思います。
1. モデル
シミュレーションには、こちらのモデルを使います。
このモデルは、政府支出伸び率と名目GDP成長率との間にある強い相関の謎を解明するために作成したものです。詳しくはリンク先のスライドをご覧ください。(※まだまだ発展途上のモデルのため、今回のシミュレーションはかなり大ざっぱなものです。)
2. 1億円給付シミュレーション
最初の政府債務残高を1000兆円とします(現実の日本もこれぐらいです)。国民が1億人いるとすると、1人1億円給付に必要なお金は約1京円になります。1年目はまだ税収が増えないとすると、政府債務残高は約11倍になります。上記のモデルでは、この時、名目GDPもおよそ11倍になると考えます。名目成長率にして、約1000%になります。
名目GDPが11倍といっても、1年で生産が11倍になることはあり得ません。そのため、この名目GDPの伸びは、ほとんどがインフレ(物価上昇)に消えてしまうと考えられます。ということで、物価もおおよそ11倍になることが予測できます。
ただし、1億円給付後に多くの人が一気にお金を使うと考えられるため、経済活動が過熱することで、更なる物価上昇となる可能性もあります。他方で、累進課税の効果によって税収が増え、結果的に名目成長や物価上昇を抑制する可能性もあります。
3. 1000万円給付シミュレーション
では、1000万円給付ならどうでしょうか。
名目成長率は約100%(GDP2倍)となりました。インフレ率もおおよそ100%(物価2倍)となると予測できます。
4. 100万円給付シミュレーション
もう少し現実的に、100万円給付の場合はどうでしょうか。
名目成長率12%(GDP1.12倍)となりました。これぐらいの名目成長率であれば、生産量の増加(実質成長)もある程度は追いつくと思われます。
インフレ率は6~10%程度に収まるのではないでしょうか(※実質成長についてはまだモデルに盛り込めていないため、これはモデルに基づかない推測です)。
5. 結論
当然ですが、さすがに1億円給付はデメリットの方が大きいのではないかと思います。1000万円だとかなり現実的ではなりますが、やはり物価2倍となると混乱は大きそうです。100万円給付なら、十分実現可能といっていいのではないでしょうか。