提案資料作成のお作法
6年ほど営業職を経験していた私が、人事コンサルファームに転職して、上司と先輩からまずダメだしをくらったのは提案資料でした。 「見てて気持ち悪い」「資料作成力が未熟」というのが上司からのストレートなフィードバックでした。
指摘のポイントは次の2つ
①「資料作成の作法」をまるで理解していない
②内容が全く構造化されていない
「営業はスピード勝負、資料作成なんかに余計な手間をかけてられない」
「コンサルは資料に異常にこだわりすぎる。そこまでやる意味ある?」
もちろんこんな声もあるでしょう(私も以前はそうでした)
一方で、多くの会社が「もの(有形)」から「ソリューション(無形)」へ営業スタイルの進化を目指しているこのご時世、無形ソリューションの頂点であるコンサル業界の資料作成法を知っておくことは無駄ではないでしょう。
そこで今回は、やりすぎない程度に、「資料作成のお作法」をご紹介していきます。「構造化」については、別の機会にご紹介します。
①資料の種類について
ビジネス資料はPPTで作成することがほとんどですが、大きく種類は2つに分かれます。
今回は読み物用に絞って話を進めていきます。
②提案資料の全体構成
資料の全体構成です。表紙、Agenda、コンテンツは必ず入れるようにしましょう。例えばRFP(提案依頼書)があるようなかっちりとしたコンペの場合は、中表紙や裏表紙まであるとベターです。
Agendaはただの目次と考えがちですが、重要なメッセージの一部です。Agendaを見ただけで大枠のメッセージが理解できるように工夫しましょう。
③コンテンツの構成
一番重要なコンテンツの構成です。コンテンツページのレイアウトは統一感を持たせて、パッと見でそのページで伝えたい要旨がわかるように、冒頭のメッセージは入れるようにしましょう。
●タイトル
このスライドで伝える項目です。原則はAgendaと同様の表記にしましょう。
●メッセージ
このスライドのメッセージの要約です。関係に1-2行程度で表記します。
実はコンテンツスライドで最も重要なパートです。
簡潔にポイントを伝えるため、「非常に」「かなり」「前記の通り」「以下の通り」といった曖昧な表現は避けてください。
●ボディ
メッセージを補強するパートです。メッセージと合わせてロジックが成立するようにしましょう。
④レイアウトの統一感
相手が違和感なく読めるように、フォント、サイズ、オブジェクト、色は可能な限り揃えて、レイアウトは統一感を持たせることを意識しましょう。
●フォント
様々なフォントがありますが、上司が使うフォントと揃えておくことが無難です。上司のスライドから部分的に拝借したり、上司がスライドの手入れをする場合が多くなるためです。
サイズは極力14、16、20、28を使いましょう。
●色
あまり多色にならないよう、全体を通して4色程度に揃えると無難です。
相性のよい色のパターンは様々なサイトで調べることができます。
例えば以下のようなサイトです。
⑤作業のステップ
最後に資料作成の作業のステップです。意外に思われるかもしれませんが、資料作成を一人で完結させることは、上級役職者にでもならない限り稀だと思います。特に重要な資料になるにつれて、上司、先輩、プロジェクトメンバーなどと確認しながら進めることが普通です。
そういった場合、一人で闇雲に作業を始めることはせずに、各ステップでレレビューを入れるようにしましょう。
一人で完結する資料作りの場合にも、各ステップでセルフレビューすると、時間を無駄にせずに済みます。
ここまで、簡単ではありますが、提案資料作成のお作法をご紹介しました。
実際は業務を通して試行錯誤したり、外部の提案資料を参考にしたりしながら、レベルを上げていってください。
参考までにWEB上に落ちていた資料を
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H30FY/000396.pdf
この資料は枚数が多いこともあり、タイトルとメッセージが合体しており、Agendaも大項目でまとめられています。ボディのコンセプトチャートは参考になりますね。
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