上下水道事業向けの経営コンサルタントの仕事
今回は僕の仕事である上下水道事業向けの経営コンサルタントの仕事内容について、簡単に書きたいと思います。上下水道事業の運営状況を少しでも知っていただきたいというのと、自分自身がこの仕事の意義を忘れないようにすることが、この記事を書く主な目的です。
上下水道事業の課題
上下水道業界でよく言われる課題は次の通りであり(他にもあります)、これらの課題は僕がこの仕事を始める10年前くらいから謳われています。
大規模更新時代を迎えている
人口減少に伴い使用料収入が減少する
大規模更新時代を迎えている
日本の水道は1887年から、水系伝染病の予防措置を目的として整備されてきました。その後、高度経済成長期に飛躍的な拡張をします(参考:厚生労働省「新水道ビジョン(平成25年3月)」)。高度経済成長期が1955年〜1973年であり、主な水道施設の耐用年数が40年と言われていますので、大規模更新時代を迎えています。下水道事業は水道事業よりも少し新しい施設が多いですが、水道事業と同様に更新が必要な時代を迎えつつあります。そのため、更新の財源の確保が課題となっています。
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人口減少に伴う使用料収入の減少
前述した通り、施設の更新費用が増加していく一方で、今後人口減少が見込まれているため、更新費用の財源である使用料収入は減少していく見込みです。
上下水道事業向け経営コンサルタントの仕事
仕事の概要
前述した課題解決のため、官民が連携し、さまざまな取り組みが行われています。それらの取り組みの一部分である、上下水道事業の経営戦略策定の支援や料金改定の支援などを僕は仕事として取り組んでいます。
経営戦略の検討は総務省が示すガイドラインに基づき行われ、検討の大部分を占めるのは投資・財政計画となっています。投資・財政計画は、簡単に言うと、「今後いくらの投資が必要なのか、その投資を実現するための財源をどのように確保するのか」を検討することです。(基本的に経営戦略は地方公共団体のHPで公開されていますので、今度どこかのものを取り上げてみたいと思います。)
今の仕事の課題
一般的に民間企業で言う経営戦略はリソース(ヒト・モノ・カネ等)をどのように配分していくかを決めるものですが、現在の上下水道事業の経営戦略ではヒトの検討があまりされていません。これは上下水道事業を運営する組織が地方公共団体であり、その職員は公務員であるため、仕組みの問題(頻繁なジョブローテーション等)で言及しきれないことが多いです。
また、更新費用増加が見込まれる一方で人口減少による使用料収入減少が見込まれるため、使用料の値上げが必要になってくるのですが、政治的に実現できないことが多いのです。
今後コンサルタントとしてやりたいこと
今後はコンサルタントとして、現在の仕事ではやりきれていないヒトに関する検討や、使用料値上げが選択できない地方公共団体との向き合い方を改善ていきたいと思っています。
ヒトに関する検討の部分はISO55001のアセットマネジメントをヒントに人材流動性の高い組織においても一定のパフォーマンスを出し続けられるようにできればと考えています。
使用料値上げが選択できない地方公共団体は、不足するお金を使用料ではなく税金で賄っていくことになりますので、本当にその決断でいいのかというのを議論しながら、その地方公共団体における全体最適となるよう促していきたいと考えています(当然、コスト見直しは前提となります)。