霊感0の父の体験談ー1ー
これは軽く45年くらいは前の話になるし
身内や友達くらいしか知らない話なので
体験者の祖父や父も亡くなったので
いつか覚えている人もいなくなるかもしれないので書いてみます。
怪談を蒐集している方(怪談を表に話す方)には提供したお話になるので
どこかで目にした方もあるかもしれません。
私は現在59歳。7つ下の妹も覚えているということなので
その頃中高生くらいだったと考えて多分45年くらい前の話です。
私の実家はお寺で、昔、母屋と離れが廊下で繋がっており
当時は離れの祖父母の居間の向かいの部屋が私の部屋になっていて
ドアを閉めても一部磨りガラスになっているところから
祖父母の声が聞こえたり、誰か通ると服の色などが見える造りになっています。
ある夜、部屋にいると祖父と父がお葬式にでも行くような
比較的上等の色鮮やかな衣で出かける所がすりガラス越しに見えました。
どなたか檀家の方が亡くなると、夜に「枕経」と言って
お通夜の前にとりあえずお経をあげに行くことがあるのですが
そういう時は普段の月命日や檀家さん周りなどで着る黒の着物なので
「なんで今日だけ葬式用なんだろう?」と思っていました。
お葬式が夜にあることなどもありません。
当時は祖父は引退しており、住職は父になっていて
普段は父だけですし、大きなお葬式とか余程のことがないと
複数の僧侶を依頼されるようなことはないのです。
私が極度のビビリで金縛り体質だったために母がその時には言わず
次の日まで私たち孫たち(私、弟、妹)には内緒にしていたのですが
昨夜は父と祖父は「除霊」に行ったとのこと。
うちは除霊などはできませんし、普段請け負ったりもしていません
大阪の田舎の方の普通の小さなお寺です。
今も「亡くなられたら極楽浄土に」と考える宗派なので
「霊になるはない」という考え方
少し歩いた隣の町にスナックがあり、そこのママさんが夜に突然来られて
今!お店に霊が出ているからなんとかして欲しいとご依頼があったらしい。
スナックは同じ建物で2つドアがあり、
左がスナック、間に壁があって右が喫茶店。
昼間は右の喫茶店が営業していて、夜は左のスナックが営業
従業員は同じということでした。
昼間、母親らしい女性と女の子が喫茶店に来てミックスジュースを注文。
従業員のお姉さんがミックスジュースを作って持っていくと
その親子はもういなかったという。
夜になって常連さんが何人か来て左のスナックを営業中
喫茶店との間の壁に鏡があり、鏡の中に
「昼間喫茶店に来て消えた母子がいる!」と従業員が言うらしい。
不思議なことに室内ではなく鏡の中
見えているのはママと従業員だけ。
泣いている子(スナック従業員)もいるのに
お客さんや呼ばれて行った祖父や父には見えず。
お店の関係者にしか見えないらしい。
祖父と父には見えなかったけれどもご供養のためにお経を読むと
こどもの方は消えたという。
でも女性がまだ消えないという
祖父が「よく見えるように鏡を拭いたら?」と指示。
雑巾で拭くと「顔が怒りました!」という従業員。
祖父や父はとりあえずあちらの要望を聞かないとと思ったようで
見える数人の中でも1番泣いている女の子に
「鏡の中の人に何を伝えたいのか聞いてみて」と言うと
「この店の裏にある家の階段の上に水とおもちゃを置いてください」と言って
消えたそうです。
祖父と父はここで帰宅。
お店の裏に誰も住んでいない空き家があり、
ママが言われた通りにすると、置いた次の日に水だけなくなっていたそうです。
コップが倒れたわけでもなく。
その後霊障などはないし、霊も出てもいないと聞きました。
裏の空き家は元々3人家族が住んでいて
事情はわかりませんが父親がいなくなり
その後何かの事情で母子が亡くなった家だと聞きました。
喉が渇いたんでしょうか
そこの店舗の立地は何屋さんになってもすぐに潰れたり
業種が変わったりして定着しない店舗でしたが
その後私が嫁いで地元を離れるまでは変わることなく
同じ店名でスナックと喫茶店は営業されていました。
45年経った今も建物もまだあり、
違う店名で改装もされて業種もちょっと違うものになっています。
右側も今は喫茶店ではありません。
当時のママももう引退されているでしょう
お店の場所は今も営業されているし
当時もお店の営業に支障があってはいけないので
あまり興味本位に周りに喋ることも不謹慎かなと思い、
家族や親しい友人の中でだけ話してきました。
今は実家の近くに引っ越して来ているので
毎日のように通るのですが、その度に子供の頃に聞いた話を
思い出してしまいます。
お店の裏の空き家も今は崩れそうな廃墟になっていますが
あの時成仏してくれていたらいいなと思っています。