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終活の優先順位。

終活を始めるきっかけは人それぞれだと思います。

親世代の終活から始める方、自分の身の回りの整理から始める方、子どもが独立したタイミングで始める方。私のように病気をきっかけに体力のあるうちにやっておこう!という方。

私はもともとシンプルなインテリアが好きで、好きなものに囲まれ、目に触れたくないものは収納する、所謂「収納上手な人」でした。友人にそう言われていたので、「どうやって押し入れに収めるか」や「どう仕切って収納しようか」と考えるのが楽しいと感じていました。模様替えや素敵な雑貨を選んだりすることも好きでした。

間仕切りカーテンや突っ張り棒やホームセンターで切ってもらった板が活躍していた時代もありました。それは今考えると「ものをどう収めるか」「どうシンプルに見せるか」に焦点が当たっていた『収納術』に過ぎなかったのです。

2017年にステージ4の卵巣がんにかかったとき、一気に価値観が変わりました。治療に1年かかりますよと言われたので、すぐに命がないということは考えませんでしたが、「モノを減らさなければ遠くに住む娘に迷惑がかかる」ということが、真っ先に頭に浮かんだことです。

腹痛、発熱、まもなく始まる抗がん剤治療、数ヶ月先の手術などなどを考えると「引っ越しや大型の家具の処分」などは後回しになりました。

「誰でもわかるようにしておこう」

銀行口座を減らし、クレジットカードを減らし、ダイレクトメールや定期的にとっていた郵便物を止め、メダカを飼うことも辞めました。妹でも娘でもわかるように、生命保険、通帳、印鑑を一まとめにして置いてある場所を伝えました。

私の場合、その中でも真っ先にしたのがパソコンの中のパスワードを必要とするサブスク類の解約や停止です。フリーランスで自宅で仕事をしていたので、ホームページを持っていたので、閉鎖してドメインを解約しました。定期購読していたメルマガの解約や学会の退会などです。

パスワードは紙にバックアップは印字してありましたが、安全上自分がわかるところにしかパスワードやIDなどはメモしてありませんし、どこに登録してどこからカード引き落としになっているのかなどなど、家族にはわからない自分の頭の中にしかないことがパソコンの中には沢山ありました。

最悪、家具や持ち物は処分してもらえば良いけれど、パソコンのパスワードなどはどうにもなりません。病院は信頼していましたが、万が一どうなって意識が戻らないとも言えません。

ですから私の場合は、「パソコンの中身」が終活の優先順位の1番でした。

今は寛解はしていませんが、再発することなく(次の年のがんは再発ではなかったので)術後、患うことになった鬱の影響で自宅療養になっていますが、体力のある50代の間に、「身軽に生活し、自分が把握できるだけの量で暮らそう。」それが今の私のライフスタイルの基本です。

親世代も要介護や他界したり、モノを減らす過程を見てきていたので、年齢を重ねれば重ねるほど処分が大変になることがわかっていたので、今から「あとで誰かにやってもらう」のではなく、今のうちに自分で減らして「身軽に生きる」ライフスタイルになりました。

終活とは「人生を終える準備」というより「どうこれから身軽に生きるか」と考えた方が楽しくできます。今は元気を取り戻しつつあるので「趣味や生きがいは削らない、ミニマルな暮らし」が私の基準です。



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