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知らなかったことを知る衝撃

10年くらい前まで
神戸市須磨区の小さなデパートの中の洋菓子売り場で働いていた
占い師として独立して辞めるまでそこで接客販売をしていた
その前までは滋賀県で大手スーパーで寝具売り場で働きながら
占い師をしていたので食品に関わることは初めてだった

神戸で有名な洋菓子だったのでよく冠婚葬祭に使われる
他にもお中元、お歳暮、年始のご挨拶、手土産、お礼など
その度に「のし」が変わるので店舗には何パターンかの「のし紙」が
用意されいて、紅白10本結び切り、紅白、黒白、黒黄色、
無地(キリスト教の方)
内のし、外のし、包装紙も普通用、弔事用と色々用意していた

この土地に住むまで「知っていた」「経験していた」けど
実感していなかったけれど、年に1日だけ「お供え」が多い日がある
「今日、お供え多くないですか?」と先輩に聞いたら
「今日命日の方が多いからね」
阪神淡路大震災の日だった
その2ヶ月前にルミナリエにも行ってたのに
ルミナリエの始まった本当の意味を忘れていた

私が経験した滋賀県では家具は倒れたけど亡くなった人はいなかったから
知ってはいたけど実感として感じていなかったんだ
衝撃だった
そうかあんなにたくさんの人が命日が同じになるんだ
そうか
いつもより一層忙しい中、心を込めて包装した

先輩が続ける
「それにね。あの事件あったでしょ?」
「事件?」
「ここ須磨区よ」
「あ」
「被害者のお子様のお家がね、ご利用してくださってるの」

これも実感がなかった
事件も本も読んでいたけれど、住んでいたのは垂水区だったし
実際に被害児童のお父様のお顔もテレビで見たことはあるけれど

実際にお供えや「粗供養」などをご用意させていただくと
衝撃と共に現実なんだと実感させられる

色々学ばせてもらった職場だった
いつかもっと元気になったらまた海を見に行きたいし
入院、通院していた明石の駅前のパン屋さんに寄りたい
須磨の職場にも皆さんに会いに行きたい


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