良いインストラクターとして、キャリアを花開く仕組み
一般社団法人REIONEの河西です。だいぶ、長い間、筆が進まずにおりましたが、本年度の沖縄県でのDXに関する講座が始まったタイミングで、どうしても残しておきたい事が出来たため、久しぶりに投稿をさせてください。
今日は、「インストラクションの質」について考えたいと思います。
インストラクションとは
上記は、最近、便利に使わせていただいている、AIチャットツールにお伺いした際の回答でした。
ここで考えたいのは「学習者の目標の達成を支援します」という部分が根幹にある事です。
インストラクションの目的が、インストラクターの為ではなく、学習者の方の目標が達成される為にあるという事です。つまり、インストラクションによって、学習者の目標が達成された場合にのみ、「良いインストラクション」ということができたと言ってよいでしょう。だとすると、そもそも学習者の「その後」に責任を持てないインストラクターは、人前に立つべきではないと私は考えています。
副業と良いインストラクションの関係
私たち一般社団法人REIONEのメンバーは、各々に別の所属先があり、プロジェクトが始まるタイミングで集まってくる仕事人集団です。REIONEの仕事は副業にあたる方が殆どでして、少しずつ一般的になり始めたパラレルワークの中で、個々の自己実現の為に活動をしている方が集まっています。
そうした、「副業」に対して、世間のイメージは必ずしも良いものでないことは、これまでの活動を通しても感じる事があります。
同じく、AIチャットツールに、副業者になぜそのようなイメージがあるかを問えば、以下の回答がありました。
上記の通りであるならば、マッチングする場合は、発注者も副業者も低い期待値の範囲で折り合いをつけてビジネスをする。という事になります。
その期待値がすり合わない場合は、双方が「やっぱりこんなものか…」という想いを抱えて、マッチングはせず、決裂してしまう。結果として、なかなか良い噂が立ちづらいという構造です。
上記の主張には、もっともな部分があります。しかし、本当に「専業と副業の違い」と言い切って良いのでしょうか。
例えば、副業者が、専業者に負けず劣らず時間をさき、研鑽している分野があったとしたら、上記の1、2の差は埋まると言えますし、専業者の所属先によっては上回る可能性もあるのです。そうした場合に、3の需給の「一般的な副業者」のマッチングのレイヤーではなく、明確な「学習者の目標達成」を叶えうるクオリティでのマッチングを起こすことが出来ます。そこまで実施していれば、4の価値認識は、「安かろう悪かろうを提供するマインド」ではないはずです。
実際に、私たちの活動の4年間はそうしたレベルにコミットして活動をしてきました。
真のゴールは、インストラクターの消滅である
では、ここからは、「学習者の目標達成」を支援する、「良いインストラクター」とは何か、について持論を述べさせていただきたいと思います。尚、私自身は、教育学などの専門的な教育を受けた背景はありません。是非、そうした背景をお持ちの先生方には、ご意見を頂戴し、教えを請いたいと思っております。
「良いインストラクター」について意見を述べる前に、「悪いインストラクター」についての私見を述べさせてください。
私の考える「悪いインストラクター」は、「一過性の気づき」を提供して満足しているインストラクターであると考えています。お恥ずかしいお話ですが、独立前後の私も、当時は「新しい気づき」に拘ってコンテンツを作っていた時期がありました。しかし、これは、「学習者の目標達成」に殆ど寄与していなかったと猛省しています。インストラクターのエゴの押し付けであって、「学習者の目標」は二の次となる、あたかもそこに繋がるかのような、手持ちのコンテンツの押し売りでしかないことに気が付いたのです。
こうしたインストラクションをしていると、受講直後にとるアンケートではとても高い評価がつきます。しかし、しばらくした後に、自身の評価が自分の見えないところで下がっていくのです。「効果がなかった」と…。
一時の気づきによる高揚感と現実との落差に、「無責任さ」さえ感じたというお声も頂いた事もあります。
そして、時々、受講者の方が、この悪しきインストラクターの目標のすり替えに気づけずに、追加発注をしてしまうケースがあります。このような場合、当然ながら成果に繋がらない事が繰り返される為、インストラクターへ払える費用も抑えなくてはならず、AIチャットツールが先で述べた、ロークオリティなマッチングのスパイラルに陥っていくのでしょう。
では、改めて「良いインストラクター」とはなにか。
「学習者の目標達成」を支援できるインストラクターとは、どんなインストラクターなのでしょうか。
私の考えでは、自身の経験を移植できる人であると考えています。
これは、実にシンプルです。例えば、プールのインストラクションでは、学習者の目標は「泳げるようになること」であり、インストラクターは自身が「泳げるようになった経験」を伝えてきます。そして泳げるようになった学習者は、インストラクターとの関係性から卒業をしていきます。
これはビジネスにおいても同じ構造であるべきです。学習者をプールに入れ、「気づきは何か?」というファシリテーションをしたあとに、得意げに見解を少しだけ述べて、凄いインストラクターだと印象付ける…それで誰が泳げるようになるのでしょう。或いは、泳法の理屈を永遠に解説し続けて、知識を授けて泳げるようになる人がどれくらいいるのでしょうか。
学習者が本当に得たいことは、どのように手を動かし、どのタイミングで息継ぎをすれば良いか。そして、それらが出来た事を一緒に喜んでくれるインストラクターと心が通った喜びがモチベーションとなり、いつかインストラクターとの別れの日(=学習者の目標が達成される日)がくるまで頑張っていくという経験ではないか。と考えています。
そうしたインストラクターの真のオリジナリティは、巧に聞こえるファシリテーションではなく、論理的に完璧なコンテンツでもなく、少し先に実践してきた自身の体験でしかないのではないでしょうか。それをどうやって、再現しやすく伝えるかに拘る。或いは、正攻法だけでは突破できないイレギュラーな場面や、個別性のあるケースを乗り越える為の応用方法を伝えられるかではないでしょうか。
これらを実現するには、自身の専門性が活きる領域へ、何度も飛び込み、実践する事から逃げない事しかないと思います。その中で失敗を多く経験する事で、何が「上手く行かなくする要因なのか」を知り、消去法で上手くいく際の要点を導く事が出来ると思います。
スタンスと仕組みについて
最後に、私たちがどのようにして活動しているかをお話しさせてください。
せっかくなので、このまま「プール」のメタファーでお伝えをしていきます。
まず、プールサイドでホワイトボードに絵を書きながら、泳法をレクチャーするかのように、ビジネスのメソッドを語るインストラクターには内部で厳しい目を向けさせていただいています。まして、「気づき」からの「後は自己責任」スタイルの方には機会も巡りません。
とはいえ、誰もが生まれた瞬間から敏腕インストラクターであるという事はありません。いずれは自分が!、という気概のある方々には、まずはプールに入って(ビジネスのプロジェクトの別ロールにて)自身の研鑽を積んでいただきます。
その体験で得られた事をを体系的に捉えられるように、促していきます。そこには仲間がいます。実践経験のある他のメンバーの視点も加えて、ご自身のものにしていただくのです。いわばインストラクターのインストラクターが、補助をしていく仕組みです。
こうした互助の関係の中で、花開くキャリアがあり、その方々が社会で活躍し続けていく仕組みを今後も継続していきます。副業人材は安かろう、使いづらかろう、悪かろう?社会の構造がそうだから?環境は、ちょっとした仕掛けで十分に変えられると思い、私たちは活動をしております。
与えられるのではなく、創るもの。一人ではなく、仲間と共に。
そうした活動を「共創」と私たちは呼んでいます。