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俺とFEZ(1)

Twitterもぶっ壊れてて暇だからな、俺とFEZの話をしよう。
だがその前に、まずはFEZを始める前の話をする。
隙あらば自分語り、させてくれ。


1.プロローグ

高校3年生の夏休みにオンラインゲームというものを知った俺は、見事に受験に失敗し、第1志望から第3志望まで全部落ちた。

しぶしぶ第4志望のクソ遠い大学に通い始めた俺だったが、懲りずにまだネトゲを続けていたので普通に大学をサボり単位も落としまくっていた。そんな大学1年生の冬のことである。

「今度、Fantasy Earth Zeroっていうゲームが始まるんだ。いまβテスト中だけど面白いから一緒にやろうぜ」
と、別ゲーのフレンドに誘われた。

これが俺とFEZの出会いだった。

2.FEZデビュー

2006年12月。俺、つまり当時のプレイヤー名「空の鐘」は、別ゲーのフレンド3人と一緒にFEZを始めた。

めちゃくちゃ雑にFEZを説明すると、要するに「剣と魔法のスプラトゥーン、50vs50の大規模戦争」といったところか。
敵をキルして陣地を確保することが勝利条件で、1試合はだいたい30分くらい。マップも広い。

このゲームは、俺が今までプレイしてきたMMORPGとは全く違うゲームだった。

なんと、敵をクリックしても攻撃が当たらないのである。

今でこそFPSやTPSで当たり前の「エイムして攻撃を当てる」という行為だが、自動で攻撃が当たるゲームしかやったことのない俺には非常に難しかった。

そしてFEZには「MOB狩り」「レベル上げ」みたいな要素がほとんどない。
いや、一応ある。しかしあくまでオマケ要素でしかなく、メインコンテンツは対人戦だ。

24時間、365日、ずっと対人戦だけのゲーム。

なんというか、これは、

ものすごく、

面白かった。

そりゃそうだ。他のゲームだって、対人戦は面白かった。
だがMMORPGの対人戦はあくまでオマケ。メインのコンテンツはダンジョンを攻略したり、レベルを上げたり、クエストを進めたりすることだ。

何時間もひたすらMOBを狩るのは、そりゃもう退屈である。

ところがFEZは違ったのだ。
ずっと対人戦だけやっていればいい。
これは革命的だと思ったね。

俺はFEZに夢中になった。毎日10時間以上プレイし、肩や腕が痛くなっても続けていた。

FEZのためにPCも新調した。当時最先端のIntel Core 2 duoだ。けっこう高かったが、パーツを友人から譲ってもらって安く自作した。

PCを新調して動作が軽くなったおかげもあり、俺のFEZの実力はどんどん上がっていった。
自分でも「それなりにやれる」と思えるくらいに。

そして"ヤツ"と出会った。

3.B鯖ネツァワル時代

FEZには当時A、B、Cの3つのサーバーと5つの国家があった。その中から俺の選んだのは「B鯖、ネツァワル王国」だった。

基本的に所属サーバーが違うプレイヤーと出会うことはないし、所属国家以外の4国は敵だ。

つまり俺の同胞はB鯖ネツァワル所属の仲間たちだけ。
そして首都(ロビーみたいなものだ)に行けば同じ国の仲間たちが買い物したり、雑談したりしている。
1ヶ月くらい毎日プレイしていたら、顔見知りも何人か出来た。

そんなBネツには有名人がいた。"キルハート"というプレイヤーである。

キルハートは俺と同じ「火属性の魔法を使うソーサラー」で、しかも戦場では「燃やされたい奴は前に出ろ!」と敵に向かって叫んでいるちょっと痛いプレイヤーだった。

だが、キルハートは強かった。
「与えたダメージ」や「キル数」のランキングではいつも上位だった。敵と味方合わせて100人の中でいつも10位以内にいたのだから、相当の実力者である。

そんなキルハートがある日、首都の全体チャットで叫んでいた。
「模擬戦をやるから、暇人来い!」

これはチャンスだ、と思った。
俺の実力はどんどん上達してきているし、もしかしたらキルハートに勝てるかもしれない。勝てはしなくても、いい勝負ができるだろう。俺の力を見せつけてやる。

そうして乗り込んでいった模擬戦会場には、すでに何人かのプレイヤーが集まっていた。LuvArkやLionGraveといった有名プレイヤーもいた。
聞けば彼らは頻繁にこういう模擬戦をして腕を磨いているらしい。なるほど、これが奴らの強さの秘密か。

10人ほどの観客が見守る中、さっそくキルハートと俺の対戦が組まれた。
勝負は1on1、決められた区域から出ない、HPがゼロになったら終了。

キルハートがどういう戦い方をするかは予想がつく。戦場であれほど燃やす燃やす言っているのだから、おそらく上級魔法の"ヘルファイア"をメインで使ってくるのだろう。戦場で豪快に"ヘルファイア"を使っている姿も見たことがある。

同じ火属性メインでも俺の戦い方は違う。俺は中級魔法の"ファイアランス"を主体に堅実にダメージを稼いでいくのが得意だ。
サブ属性として氷魔法も取得しているから、"アイスジャベリン"で足止めをしてからのコンボも狙える。

さあ試合開始!まずは牽制の"ファイアラン「ライトニング」

!?

予想外に小技で来たか!
だが、初級魔法の"ライトニング"ではダメージは低い。
炎上ダメージのある火魔法のほうが…

"ファイアラン「ライトニング」

クソッ!だったらこうだ、"アイスジャベリ「ライトニング」「アイスボルト」「ライトニング」

!?!!?

一瞬で体力が半分に!?
まずい、こうなったら大技をぶち当てて一発逆転するしかない…
"ヘルファイア"をくらえ!

「そんな見え見えの大技くらわねーよ」(と、後で言われた)

俺の"ヘルファイア"は虚しく空を切り、華麗なステップで回避したキルハートから立て続けの「ライトニング」「ライトニング」「ライトニング」

先ほどの"ヘルファイア”で俺の魔法力は枯渇してしまい、すぐには反撃ができない。

………

………………

初めての模擬戦、俺はキルハートに1ポイントのダメージも与えられずに完封負けした。

空の鐘(当時)、初の挫折である。

次回に続く。

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