2月の投資と配当の振り返り~1リート、2インフラファンドの分配金と銘柄の入れ替えについて
12年前の3月11日の東北大震災に関するドキュメンタリー番組が数多く放送されて拝見しました。親戚知人にご不幸があった方、家屋や勤務先が被害にあわれた方、多くの方にとってとてもつらい記憶でしょうが、直接体験しなかった私たちにとっては、忘れかけていた貴重な教訓を取り戻せる機会でもありました。亡くなられた方々のご冥福を祈り、被災地域の方々の悲しみを共有するとともに、被災者を助け、復興に奮闘努力された皆さまに心から敬意を表したいと思います。
一方、被害にあった地域の復興面では、若年の労働人口の流出が深刻なこともよく話題になります(日本経済新聞オンライン版ほか)。先日の能登半島地震のさいに、罹災された方が将来の希望について聞かれ、家を再築したい気持ちを語りつつ、「もとから孤立集落だったのに、人が避難先から帰らず、もっと孤立するだろう」とお話しされていましたね。私は人口増加、経済成長の中で育ちましたが、長いデフレの間に、気づけば急速な人口減と労働力不足、地方の過疎化の時代になっていました。今後も多くの若い方が機会を求めて都会へと移り住み、地方では働き手の不足による様々な困難が生じてくると思われます。被災者救済の財政出動は当然ですが、それが単純に「復旧」のために使われるべきか、それとも効率を最大化して、コンパクトな地域の中心都市を目指して大胆な変革をすべきか、地方行政担当者が知恵を絞っていただきたいところです。復興の財源を国が全部用立てるのではなく、リートのような民間の力が復興の助けになればいいのですが。
2月の分配金~1リート、2インフラ投資法人
さて、先月の私の投資・配当状況を振り返ります。最近、リート、安すぎ、とか、売られすぎ、という内容の動画を専門家の方がアップしてらっしゃいますけど、私、ここで先に言うてましたやん。というか、私の長い投資生活でBRICSや個別企業投資では失敗しましたが、リートだけでここまできましたやん!と文句言わずに、まず大きな動きです。しばらくの間noteでも不安視していたインフラファンドについてです。前回の振り返りで少し書いたように、カナディアンソーラーを113,400円で21口売却して、2月1日に新NISAの成長枠でイオンリートを17口買いました。取得単価は137,400円でした。
2月の分配金はアクティビア・プロパーティーズ投資法人、エネクス・インフラ投資法人、ジャパン・インフラファンドの1リート、2インフラファンドから受け取りました。2月22日に残りのカナディアン・ソーラーを37口全部11,400~11,510円で売りました。長らく高い分配金を出してくれたのにごめんなさい。はじめはインフラファンドというコンセプトが大好きだったのに。。。電力のFIT(固定価格買い取り制度)というある種えこひいきと高い減価償却費に基づく利益の出し方にいつのまにかしっくりこないようになりました。エネクスやジャパン・インフラもそうですが、この分配金で人気が出ないのもなにか制度的に無理があることを投資家たちが感じているからではないでしょうか。エネクスやジャパンインフラがそれでも順調に規模を拡大しているのでキープしているのですが、引き続き注意していきたいと思います。
カナディアンを売った資金をどう使ったかは後回しにして、まず2月の分配金、つぎに購入した3つのリートについてお話しします。
アクティビア・プロパーティーズ投資法人 (3279) https://www.activia-reit.co.jp/
Japan-reit.comの情報から「東急不動産をスポンサーとする複合型J-REIT。都市型商業施設(東京都及び三大都市圏の政令指定都市並びに国内の主要都市のターミナル駅に隣接するエリア又は繁華性が高いエリアに所在し、高い視認性を有する商業施設)及び東京オフィス(東京23区に立地するオフィスビルのうち、オフィス集積があるエリアの駅至近に位置するオフィスビル)を重点的な投資対象としており、70%以上の投資比率とすることを基本方針とする。資産規模は5,462億円。JCRから「AA」格付を取得。」とあります。所有物件の用途は事務所の比率が60%弱、商業施設30%弱、地域は主要五区60%強、中部・近畿は約25%です。上記サイトに動画による詳しい決算説明動画があります。分配金利回りは3月11日現在4.95%と最近の値下がりもあって良好で、NAV倍率0.84、時価総額は全リートで17位、格付けAAの大型リートとしてすべて安定しています。最近投資口償却もありますが、順調に成長を続けており、物件の稼働率も高く維持されていて、運用状況報告書のポートフォリオの写真も立派な建物がたくさんあって、ひきつけられます。今回(2023年11月期)の公式分配金9,611円、次回、次々回予想で9,300円ですが増配もありそうで、保持し続けますが、オフィス比率が高く、すぐには買い増ししないと思います。
エネクス・インフラ投資法人 (9286) https://enexinfra.com/
名前から明らかなように伊藤忠エネクスをメインスポンサー、三井信託などをサブスポンサーとし、現在は太陽光発電(50%以上。取得価格ベース)が中心ですが、風力、水力発電(併せて50%以下)も有していて、今後バランスの取れた再生可能電力の供給を目指す投資法人です。2023年11月末で所有物件の取得価格1,022億円、243.4MWの発電力となっています。買い始めたころは物件の分散ができていなかったのですが、現在は北海道から長崎まで、関東46.8%、中部39.8%とかなり広範囲に発電施設を保持していて、リートやインフラファンドの地震リスクにはある程度対応できそうです。定期的に公募増資を繰り返して、現在はカナディアンソーラーの投資法人に並ぶところまで来ています。1口当り分配金は3,000円、分配金利回りは7%強と文句のつけようがないですが、内訳は利益分配金が1,551円、残りが利益超過分配金となっていること、FITの制度により政策ベースの時限的特典を受けていることが気になります。ただカナディアンより順調に成長していることと、再生可能エネルギー全般に将来も事業の関心を向けているようなので、このままキープしたいと思っています。いずれにせよ、個人投資家にとって安定的に税引き後6%強の分配金はありがたいです。
ジャパン・インフラファンド投資法人 (9287) https://ji-fund.com/
Japan REITによると、「総合商社である丸紅株式会社の子会社ジャパン・インフラファンド・アドバイザーズ株式会社(2019年2月設立:丸紅90%出資)が運営する7番目の上場インフラ投資法人。丸紅・みずほ銀行・みずほ信託銀行がスポンサーとして名を連ねる。」と信用力もあり、なにより上場後4年で100億円から676億円まで順調に成長していますね。保有物件も2020年2月の15から61物件に増えて地域分散もしています。分配金は3,010円/1口(ただし利益分配金は1,777円)で、予想分配金は今年5月期3,000円、11月期3,015円の予定です。実は私個人は、購入したとき92,466円/1口だったのが、現在84,000円くらいとけっこう赤字を出しているのですが、本法人の「外部成長を継続し、資産規模の拡大を目指す」(運用状況報告書から)の目標が比較的実行されていると思い、エネクスと共にしばらく保持しようと思っています。高い分配金が魅力の反面、懸念はFITの時限的制約や分配金の内容、出力制限の可能性、地震リスクなど、エネクスと共通です。いずれにせよ、インフラファンドは政府のエネルギー政策に影響されるので、投資判断が難しい時期が続くと思っています。
買った銘柄(産業ファンド投資法人、KDX不動産投資法人、2回のイオンリート投資法人)
最近リートがどんどん下がっていたのがどうしても理解できませんでした。しかし、リート指数は、https://finance-gfp.com/からお借りしたチャートが示しているように、特にその配当込みのものは、リートが安定した投資となりうることを示していると思います。
3月中旬現在の東証リート指数1700前後は投資のチャンスですので、カナディアン・ソーラーの売却による資金で、産業ファンド1口、KDX不動産投資法人を2口、イオンリート48口買いました。イオンリートの17口以外、どれもNISA枠外です。イオンリートの購入金額が違うのは最初の17口が新NISA用で、最後の31口はNISA外で課税対象のものだからです。
産業ファンドは昨年11月に39口買っていたので、1口だけ追加。KDXは、以前ケネディクス商業リートを持っていたのですが、オフィスや住宅と合併して巨大リートになるとき、その投資方針が理解できなかったのでいったん売ってしまいました。しかし、今回カナディアンソーラーを売って資金ができた時調べてみると、総合リートへの変身は良かったのか、という気がしました。いずれにしても購入分はまた配当(分配金)がでたときに、レビューしたいと思います。あとグローバルX USリート・トップ20(2018)というETFを買いましたが、これは1,100円で50口、海外リートについての今後の勉強のために買っただけで金額も小さく、今回は省略します。
まとめ
まず2月はほんとにリートが値下がりしてすごく利回りが良くなったので、カナディアン・ソーラーのインフラファンドを処分して乗り換えることができました。ただ、これを書いている3月中旬にジワリ、ジワリと上がってきていますね。よくリートの価格変動リスクと言われますが、基本的に大型リートは投資口価格が下がったら、利回りは上がっています。これはたとえ含み損が出たとしても、個人投資家にとっては大いになぐさめられる長所ですよね。まあ、下がっても、お小遣い出たからええか、と思えますし。リートはインフレを賃料に反映させられるようですね。これからリートも株価に追いついていくのでしょうか。もう少し買い場を残しておいてほしいのですが。
ところで3月19日に植田総裁が記者会見で異次元の金融緩和の終わりを発表されました。ではこれからどんどん金利が上がっていくか、というとそうは思えません。そもそも5%を超えるような物価上昇、賃金上昇が続けば、もはや「好循環」はありえませんよね。未来には明らかに悪質なインフレがちらちら見えます。一方、日本はまだ実質賃金、実質GDPがマイナスですね。そして需給ギャップもマイナスで、これからも大きく好転するとは思えません。急激な人口減少による需要の減少に反し、労働力不足から無理やり賃金を上げても、日本経済全体の縮小傾向は否定できません。これはもう構造的にやむを得ないことで、外国人の労働者に選ばれる国になるか、画期的なイノベーションが生まれるか、特に後者については悲観せざるを得ません。AIや半導体が投資で人気を集めていますが、人工知能やロボットが休暇でヨーロッパに行きたいとか、今日はおいしいものが食べたい、と言い出して需要の増加に貢献してくれるわけないですし。需要は人が作り出すものですものね。
でもひとつ、九州にTSMCが来たことからわかるように、世界中で政治状況が不安定化し、冷戦・紛争が当面続くのに対し、日本の治安の良さは外国企業にとって大きな投資の動機づけのはず。地政学上利点を外国の政府や企業に強調して、地域の活性化のためにも彼らを呼び込み、私たちももっと異文化に接して発展する機会を作ってほしいです。あとDXよりもGXのほうが、日本人の(苦手なヴァーチャルイノベーションより)得意とするリアル世界のモノづくりの部分が大きいので、チャンスがありそうですね。私の住む愛知でも(もちろんすべての地域で)これからは資源の循環利用を得意とする企業に活躍してほしいです。民主主義、平穏な社会、ていねいなモノづくり、これに外国人へのホスピタリティーで、縮小する経済を受け入れつつ、穏やかな生活ができればいいのではないでしょうか。