32:危機を乗り越える
残念ながら、新しい領域に挑戦しているからこそ、想定外のトラブルはベンチャー経営にはつきものです。
ただ、トラブルのときこそ、経営者としての手腕と本質が試されると思っています。
ここで、ひとつ私の例を挙げましょう。
フードジュエリーを立ち上げた1年目、福岡の百貨店でのバレンタイン催事での出来事でした。
バレンタイン催事は、1年の中でも一番売上が高い重要な催事。しかも、起業1年目の初めての大型イベントです。
催事前日、これから福岡に向かおうとしていた私の元に、製造スタッフから「ドライフルーツから<カビ>が見つかった」と報告がありました。
すぐさまメーカーに問い合わせると、「添加物を加えていない自然素材だからこそ、カビが発生することもありうる」と言われてしまいました。
メーカーからは「ドライフルーツをすぐに取り替えます」と言われました。しかし、次の日から催事がスタートする段階だったので、もちろんドライフルーツを使ってブリスボールを作り、すでに百貨店に発送していました。
どうしよう・・・。
目の前が真っ暗になるという絶望。
カビが混入しているかもしれないブリスボールを廃棄するか。
しかし、どのブリスボールにカビが混入しているかもわからない。
そうなると、すべてのブリスボールを廃棄するか?
全部廃棄したら、明日から始まる催事で販売する商品がない。
今回初めてのバレンタイン催事だからこそ、催事を優先してこのまま販売するか。
会社にとって、とても重要なタイミングで、会社の運命を左右するような大事件が起こってしまいました。
目の前が真っ暗になりました。
しかし、そのときには結論は出ていました。
私は百貨店に発送したブリスボールをすべて廃棄しました。
私がお客様の立場だったら、カビが入っている可能性がある食品は絶対に食べたくない。そう、お客様のことを考えると、カビが入っている可能性がゼロではない以上、絶対に販売してはいけません。
お客様の立場で考えると、悩む間もなく、結論は一つと自分を奮い立たせ、すべて廃棄することを決断しました。
結論を出してしまえば、あとは行動するのみ。
すべて廃棄したとして、どうしたら催事に間に合うか、すぐに考え、行動しました。
スタッフにはすべてを廃棄するので、製造ペースを上げてほしいと頼み、スタッフが業務を終えた夜から、徹夜でブリスボールを作りました(笑)。
そして、次の日、両手で持てるだけブリスボールを持って、新幹線に乗って、催事に滑り込むという荒業を成し遂げ、なんとか初めてのバレンタイン催事を乗り越えることができました。
今となっては笑い話ですが、当時は死ぬかと思いました。
たまたまドライフルーツ1個にカビが見つかっただけで、それまでに作ったブリスボールにカビは入っていなかったかもしれません。
ただ、ここでお客様をないがしろにすると今回、困難を乗り越えられたとしても、事業の根幹、そして自分自身の事業への情熱が揺らぐような気がして、難しい決断をあえて選びました。
また、その後、今回のトラブルを教訓に、品質管理をさらに向上させるべく、自社でもドライフルーツの全品検査を行うことにしました。
危機が起こった時の対応と同時に、今後の防止策の整え方にも、その企業の本質が現れると私は思っています。
みなさんも、起業し、危機に見舞われた時こそ、経営者、そして企業の本質が試されていると思ってください。
そして、きちんと向き合えば向き合うほど、お客様もスタッフからも信用されると私は思っています。
ポイント32:危機的状況こそ、経営者の本質が試される。
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