ありがとう、だいすきな人。
わたしの大好きな人。
短髪がよく似合う、笑顔の優しい人。
金髪にしたり黒髪にしたり、短髪にしたり長髪にしたり、気分のよく変わる人。
大学の課題は友達に見せてもらって写す。
何もない日はスロットに行って、家の近くでビリヤードをする。夜になると居酒屋に行き、帰ってきたら友人の家に行く。
この人の時間軸の中にわたしが入ることはないんだろうな。そんな彼の時間軸の中に少し入ることができたのは、飲み仲間としての呼び出しを受けた時だ。
東京と静岡という距離を電話一本「今から飲もうぜ」で私のことを呼び出せるのは親友と彼ぐらいだ。私は彼にかける時間もお金も何も惜しまない。
電話から5時間後、彼の住んでいる街は、新幹線は各駅停車でしか停まらないし、最寄り駅まで歩いて20分。駅近の飲み屋には若い男女がベロベロで座り込んでいるような街だった。そんな街のパチンコ屋の前で待っている彼。出会ってひとことめは、
「腹へったくね?飯食って宅飲みしようぜ」
なんで嫌な気持ちにならないのだろう。彼がいう言葉全てが私はスキだった。
そこから彼の行きつけの定食屋さんでご飯を食べて、コンビニにより、お互い3本ずつ缶チューハイを買って彼の家に向かった。彼はお酒が弱い。
缶が半分開く前に、彼は真っ赤になり眠気を訴えてきた。私はペースを上げながらお酒をなくしていく。心なしかその日はお酒が回るのがいつもより早かったかもしれない。
私が昔から好きだったこと、呼ばれたらすぐに会いに行ってしまうこと。知らないと思っていた。本当は知っていたのかな。ど天然の鈍感男だと思ってたよ。
でも、彼はお酒がいかにも回ってますと言わんばかりに頭を抱え、「俺、多分お前のこと好きになるわ」と言った。それから彼の時間軸に私を入れてくれるようになったのだ。
付き合うことも別れることも突然。いつも彼は台風みたいに私を掻き乱すんだ。「大切な幼馴染に戻れなくなるのは嫌だ」彼の言葉で2人の関係は終わった。付き合うって結婚か別れの選択を迫られる。何度経験してもどんな別れ方であってもやっぱり別れは辛いな。彼との別れはこの先ずっと忘れないだろうな。
いつかこの恋が彼に忘れられてしまうとしても、私の生きている人生の大恋愛だったことに違いはない。たくさんの喜怒哀楽と思い出をありがとう、今までもこれからもだいすきな人だったよ。
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