赤坂榮林(えいりん)にきたら酸辣湯麺
私はたまにお弁当を作って会社に持っていっていた。だが糖質制限の存在を知ってから昼に白米を食べることに抵抗感が芽生えてしまい、簡単だからと半分以上がご飯で占めていたお弁当を作れなくなった。ご飯以外でスペースを埋めようとすると労力がすごくかかる…
「今日はお弁当?持ってなかったら一緒に食べない?」と同僚が誘ってくれた日、私は「あ…一応お弁当…いや…大丈夫です行きます!」と答えた。私より長く勤めている同僚はランチのお店をよく知っている。「一応お弁当」と言ったのは小さなタッパーを持ってきていたから。しかし中にはゆで卵が2つのみなのである。タンパク質を持ってきて野菜を買って一緒に食べる作戦だった。でもいいよね、たまには。(と言いつつ最近外ランチの頻度が右肩上がりで困る)ゆで卵は明日の朝食べよう。
「榮林に行こう」有名な中華だそう。老舗だったら赤のれんの街の中華屋さんの雰囲気なのだろうか。しかしお店の前でその想像は大きく覆される。一見中華とわからない。黒と白を基調にした、でも一歩入れば円卓や机上の酢・醤油・辣油セットで中華とはわかる内装である、予想以上にすごく洒落ていた。
メニューを見ると、あんかけ焼きそばやあんかけご飯が何種類も。それと元祖榮林酸辣湯麺(スーラータンメン)の文字。
「ここに来たら酸辣湯麵だよ」何度か訪れたことがある同僚が言う。「じゃあ私はそれにしようかな」と私と同じく初めて来た同僚が言った。そうなれば私も酸辣湯麺だ。トマト酸辣湯麵というメニューもあり気になったが初めてなのでスタンダードにしてみる。トマトは次試そう。
仕事の話をしているとすぐに酸辣湯麵が運ばれてきた。
美味しそう。酸っぱい物も好きな私、同僚と話しながらも心が躍り始める。とろみのついたスープに泳ぐ卵が綺麗だ。細切りになっているのはたくさんのハム。一見するとレディースサイズに見えるのだけど、箸を入れて驚いた。細麺がぎゅぎゅっとスープの下に詰まっている。先にくるっと器に入れた上からスープを注ぐのだろう。熱々のスープとともに麺をすする。美味しい。思った通りの酸辣湯麵という感じ。教科書に載る酸辣湯麺だ。スタンダードを外して来ないところがさすが老舗中華、60年やっているらしい。店内が綺麗なのは2008年にリニューアルをしたからだそう。
見た目より量があり、舌もお腹も大満足。朝作ったゆで卵に感じた申し訳なさは既に無くなっていた。ちゃんと明日食べるからね、とカバンの上からタッパーを確かめオフィスに向かう。
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