《18通目》トロッコに乗って
先生へ
どうでもいい話題かもしれません。今日は「生まれ変わり」について。
私は高校生の時まで、人生が終わったら時間って概念がなくなるって思ってました。だから、生まれ変わるとき、織田信長にも、ガンジーにも、私にも、未来人にでもなんにでもなれるって思っていたんです。
となると、人生のシナリオはもう生まれ落ちるまでに決まっていて。どんなに覆そうとも運命に従ってその人生を生き切るもので。だから人生はどれも足して引いて50点のもので振り分けられていて。無限にある全て50点の人生の中から好きなものを選んで生まれ落ちる、そんな風に考えていました。
でも、最近直感的にそうじゃない気がしてきました。
私たちはブレーキもバックのギアも持たない、トロッコに乗って。もう二度と戻ってくることのない道をずっとずっと進み続けている。だから私たちは、確かにこの時を生きたことを証明するために、過ごした景色を切り貼りしていく。日記や、写真や、記憶や、声によって。
もう二度と戻ることのない世界を、もう二度と過ごすことのできない今という時間を使いながら、再現して、保存していくんです。
そう考えると、何気ない写真や、博物館や図書館が、どれだけ大切なものを抱えているのかと思う…。
私は見る景色がこれから大きく変わってしまう予感がするとき、トロッコから降りて戻りたいなんて、思ってしまう。進むな進むなと、トロッコを壊してしまいたくなる。でもそんなことをしても仕方がない。そういうことを繰り返しながら、私はトロッコとうまく付き合っていく方法を探していくんだと思います。
私は風下の方向を見て、涙することもあるかもしれない。そしていつか私は風上を見てほほ笑むだろうなって気がする。
先のことは分からないけど…私は見慣れた景色を一つずつ失いながら、知らない景色と出会っていくんだろうなって思います。ずっとずっと続く、トロッコに乗って。
2024.11.14 生まれ変わったらイケおじになりたいです れいん。