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生活に寄り添ってくれた音楽たち/「先生、修学旅行に音楽プレイヤーを持ってたらダメですか?」

すっかり暗くなった空の下、僕たちクラスメイトを乗せたバスは、ガタガタ揺れながら東京スカイツリーへ向かっていた。この時、誰よりも心を躍らせていた。

当時中学三年生だった僕は、サカナクションの音楽にとにかく夢中になっていた。自分の生活に音楽が加わったきっかけのロックバンドで、人生で初めて音楽ライブに行ったのもサカナクションだった。
「ユリイカ」は東京の風景やこの街にミュージシャンとして生きている山口さん自身の葛藤を歌った曲だと僕は思っているが、ミュージックビデオに東京の街の映像が所々にカットインされるのを観て、いつか東京の夜景を眺めながらこの曲を聴けたら素敵だろうなと思っていた。ただ携帯機器の持ち込みは当然禁止されていたので、僕の小さな夢を叶えることは出来ないなと少しだけ寂しくなった。

エレベーターに登って最上階に辿り着くと、僕は少し離れたところで1人になって、視界いっぱいに広がる東京の街を眺めながら、頭の中で「ユリイカ」を再生した。こっそり音楽プレイヤーを持ち込む勇気なんて無かったし、原始的でも何でもない方法だったけど、たいして知りもしないこの街のことを、その瞬間とても愛おしく感じた。

「先生、修学旅行に音楽プレイヤーを持ってたらダメですか?」

この言葉をぐっと飲み込んだことを後悔はしていないし、もし言ったとしても「おいおい!駄目に決まってるだろ!」って先生は冗談混じりに返してくれたと思う。

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