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開催レポート10「パリで生きる私の話」

こんにちは。れいこう麗澤会では1月16日〜20日にかけ、オンラインキャリアトークという無料のキャリアイベントを実施しています。今回は1月18日(月)に実施した「パリで生きる私の話」の開催レポートをお送りします。なおこのレポートは大学生サポーターの<オダアキコ>さんが執筆してくれました!

講師紹介 

八田 春海さん
 大阪出身。APU(立命館アジア太平洋大学)で国際協力を学びながら宝飾専門学校とダブルスクールし、技術を習得。
 卒業後はエシカルジュエリーのブランドに勤務後、ハイジュエリーの制作アトリエにて修行し、2013年渡仏。現在8年目となる。
 パリのジュエリーブランドで勤務後、独立し現在は企業向けOEM、個人向けオーダーメイドジュエリーの制作を手がける。

話の内容

①ジュエリーの仕事とは?

・内容
 貴金属を加工する。
 技術やクリエイティビティが求められる仕事。
・フランスと日本の違い
 職人として扱われる。
 仕事として沢山あり、職業として学ぶ体験もできる。
・アトリエの紹介
 金属を叩く工具やガスバーナー、レーザー溶接など、特殊な器具を使う。
⇒危ないものを扱う事が多いので、自宅では難しい。

②なぜAPU(立命館アジア太平洋大学)に進学?

1.日本で、芸術系の仕事を探すことは難しかった。
2.手仕事が好きで、それだけでやっていける仕事がなかなか見つからなかった。
3.美大に進学することは、“自分の本当にしたい事では無い”と思い、海外に行くことをメインに考え始めた。
4.英語を、将来の手段として考えた。
5.APU卒業生の卒業後の職業は、皆バラバラだったので、“自分のやりたいことが明確に見つかるのでは”と思った。
⇒以上のことから、APUに進学した。

③APUでの活動

1.海外と芸術関係を結びつけたことがしたい。でも明確に繋がっていなかった。
2.沢山経験をするために、ワークキャンプに参加した。
3.具体的な就活時は、NPOや直島などでインターンシップを行った。
⇒経験して感じたこと:自分がしたいスキルを求められる仕事では無い。
4. 4回生は大学にほぼ行く必要がなかったため、Wスクールをして技術を習得した。

④フランスに来てから

1.きっかけ
 ワーキングホリデーでフランスに来た。
 仕事が出来るところは、パリにしかなかった。
2.フランスでの行動
 CV(履歴書)をフランス語で作り、各所回ってお願いする事もあった。
⇒仕事が見つかり、働くことができた。

⑤パリの特徴

1.仕事
 芸術関連で職業が成り立っていて、ジュエリー系で働ける環境がある。日本では、芸術系は偏見混じりで見られやすいため、フランスの良いところ。
 キャリアはさまざまで、理系から来る人もいる。
2.生活
 少し生活し辛い。
 話題:書類の手続きに苦労することが多い。。。
    視聴者さん・・・ドイツもオーストラリアもそうだよ!
 物価・税金(20%)が高い。
 家を見つけるのは大変・
 町並みは綺麗!
3.子育て
 子供への手当・制度が良く、子育てはしやすい。

⑥最後に

 “自分が知っている生き方“以外の生き方をしている人の、生き方を知ることはとても大切だと思う。
 “この選択肢しか無い”と思わずに!
 沢山情報を集めて、自分の知らないことを調べて、選択肢を広げることが大切なことだと思う。
 自分の人生だから、誰かの言うことを聞くのではなく、自分のやりたいことを選択してほしい。
<職人を目指している子に>
 ひたすらやっていれば、大丈夫!
 辞めずに、続けて!
 そうすれば、何かしら道が拓けると思う。
 そして、しつこさ大切。

こんな質問が出ました

Q:どうやってCVをつくった?
A:友達(日本に留学を考えているフランス人)に作ってもらった。
 
Q:フランスには、フランス語を話せない人はほとんどいない?
A:そうだと思う。
 ジュエリーとファッションって近そうでかなり違う。
 ファッションは様々な人が関わるので、共通言語が英語になりやすい。
 しかし、ジュエリーは現地で完結するので、共通言語がフランス語になりやすい。また、わざわざフランス人は英語を喋りたがらない。

Q:ビザがおりたのも奇跡!
A:私はタイミングが良かった。
 フランスはビザが厳しい!
 それでも取得できたのは、フランスが取る人数を増やし始めたタイミングだったため、取れた。
 また、ビザを取りやすいポイントの情報を集めた!
  ・日本の取引先があったこと
  ・技術的に自分がメタルの技術が良かった

Q:独立した理由は?もともと独立したいと思ってた?
A:技術職は、独立したほうが自分のやりたいことをできる。
 自分のポリシーに合う職業を見つける事は大変。
 だから、独立したほうが、自分の目指す方に行きやすい。
 また、子ども生まれたので、自分でコントロールしたかった。

Q:高校生の時に芸術系大学への進学を選択しなかった理由は?また、大学生で復活した理由は?
A:高校では、仕事としてのイメージがつかなかった。
 さらに、周りも知らなかったので、情報を集めにくかった。
 それがAPUは特殊で様々な方がいて、なにかしたいって思った時に、広い視野で考えられるようになった。
 また、“自分で探せば何かあるかも”と思えるようになった。

Q:職人に必要な素質とは?
A:好きかどうかじゃないかな。
 長期間やっても嫌にならない気持ち。
 やり方を理解できていても、実際には出来ないこともある。その時に、反復練習となるので、それを楽しめる人。

Q:いつ頃、手仕事が好きだと感じた?
A:小さい頃から手仕事が好きだった。2-3歳の時から、手作業を良くしていた。

Q:パリで生まれてたら、どうしていたと思う?
A:絶対、芸術系に進んでいたと思う。
 フランスは制度として、高校生に進む段階でほぼ決まる。そのため、ジュエリー系は高校入学時から集中する人が多い。その道が見つけやすくなっているので、その進路に進みやすい。

Q:仮に日本で芸術系の学校に進学できたとしても、日本で働きたくなかった?
A:うーん、そうかも。日本での評価基準は違うので。フランスのほうが評価されやすい。日本はきっちりできていることを評価されている。自分は、そこに入り込めなかった。
 日本はジュエリー系だとビジネス色が強い。一方で、フランスだと市場が大きいのが前提としてあって、評価される。
 だから、日本でのその価値観があれば、フランスに行く必要はなかった。

Q:フランス語はどのように勉強した?現地で学校に通った?
A:そもそも、フランスに長く滞在するつもりではなかった。実践で学ぶつもりで来たので、学校に通う前に先に就職した。
 しかし、フランスでは夜に学校がなく、通うことの出来る学校を見つけることが出来なかった。
 だから、聞こえている言葉を周りに聞いたり、メモしたりして、フランス語を勉強した。
 結局学校には通っていない。当時は理解できる言葉に少し偏りがあって、ジュエリー系は話せるけど、日常会話は難しいこともあった。
 今は、フランス語で友達とも喋れるようになった。

Q:フランスでジュエリー系の勉強をしようとは思わなかった?
A:当時、その考えがなかった。
 26歳以下だったら、働きながら勉強できる制度がある。なので、若かったら勉強していたかも。

Q:あまり社会的圧力が無いように見えるが?また、親にはどう思われてた?
A:日本は、あまり自分に合わないと思っていた。
 高校の美術の先生が、自分のやりたいことをすごくやっていて、キャリアの選択の仕方に影響を受けた。それで、最初にNPOに入った。
 両親はとても応援してくれていた。

Q:日本の伝統工芸を広めたい。高校卒業後、職人になるべき?芸大に行くべき?
A:芸大に行っていいと思う。職人の世界に飛び込んだところで、良いことだけではない。中途半端になることもある。
 だから、芸大に行って、学生という肩書がある時に、沢山経験を積んだほうが良いと思う。
 大学に行って良かったのは、経験をたくさん積むことができたこと。プロジェクトをやってみたりして、全体像をつかめるようになった。その経験があったから、現場にて、様々な立場を把握して発言すると、説得力がある。さらに、自分も自信を持って主張しやすくなる。

Q:パリで、高校以降に専門を変更できる?
A:できる。けど、職人は経験値が必要なので、結果的に不利になりやすい。
 業界内でトップを目指そうとするならば、若いころから目指すべき。

感想・まとめ

 ジュエリー関係のお仕事をされている方のお話を伺うのは、今回が初めてでした。ですので、ジュエリー系のお仕事はどのような苦労があるのか、さらにフランスと日本の違いは何であるのか、とても興味深い内容でした。
 また、聴講をして、「“自分の生き方”以外の生き方をしている人の生き方を知ってほしい」という言葉に、とても衝撃を受けました。よく、“情報をたくさん集めなさい”というアドバイスを聞くと思います。どちらも、同じ意味であるとは思います。八田さんは“生き方“という単語を用いて、中学・高校生にメッセージを伝えてくださいました。この表現は、自分が実際にそのように生きてきた人だからこそ、表現できるのだと思います。私も、いつか誰かにメッセージを伝える年代となった時には、この表現がふさわしい、自分が誇れる生き方をしていきたいと思います。
 素晴らしいお話を、ありがとうございました!

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