セールはしたくない
「零細町工場の社長」です。東大阪の町工場で品質にこだわった『切られ役』というカッターマットを作って、売っています。
主に自社サイトとAmazonさんを使って一般のお客さん向けに売っているのですが、Amazonさんにとってはまもなく一年最大の書き入れ時(ブラックフライデーセール)。
「売上を最大化するためにセールをしましょう」というメールが頻繁に届きます。
弊社も慈善事業やサークル活動ではなく、営利を目的としている企業なので売上は欲しいです。ではそういった波に乗るのかというと、よくよく考えてやっぱり乗りません。
弊社で作って弊社が売っているカッターマット。「1枚売ればボロ儲け」っていう利益率では全然無く・・・。かといって、薄利多売で死ぬほど売らなきゃ会社の足しになる利益を得られないってわけでもないあたりに価格設定をしています。それこそ熟慮に熟慮を重ねて。
弊社は町工場です。せっかくモノづくりをしているのに一部のお金に余裕のある人しか買おうと思わない値段設定は違うなあと私は考えています。やっぱりモノって使ってもらってナンボなところはあるので。
製品自体には自信がある。「その自信の品質をより多くの人に手にとって愛用してほしい」これが本懐です。だからといって、めちゃめちゃに安くするのももっと違うなって思います。
想いを込めて汗もかいて魂を込めて作った製品をそういうふうに流通させるのは、自分で自分の価値を毀損させるのかなと。
ちょうどいいバランスを見つけて、値段設定したいわけです。中々それは難しいですが。「“良い品質の製品”を“手に取りやすい価格”で」が理想です。
で、題名の「セールはしたくない」です。なぜかという現状の価格から15%200%引くだけでもうほとんど利益なんて残らずに何してるかわからないという点が一番大きいです。世の中見渡してみたら平気で30%オフ、50%オフってありますよね。弊社の製品であんなことをすると文字通り赤字で、慈善事業になってしまいます。つまり、弊社の製品は“定価”でそれぐらいお得な価格設定だってことです。
後もうひとつ「セールをやりたくない」大きな理由は、公式サイトで売っているアウトレットの「かまへん割」の存在です。
弊社では、「他社では中々ここまでしないでしょ」ってなぐらい厳し目の検品基準を定めて、社員ひとりひとりの目で検品作業をしています。そこで“はじかれたB品”を「かまへん割」として2割で売っているのですね。
売上を立てたいからと言って、仮にAmazonさんのセールに乗っかって2割引にしたとしましょう。アウトレット品を2割で買ったお客さんは“ムカつく”だろうなと思うのです。身銭を切って、数ある強力な競合他社の製品ではなく弊社の製品を買い求めていただいたお客さんをムカつかせることしたくないなと。
「お前は商売というものをわかっていない」のかもしれません。でも自分が経営する会社なので、自分が“こうありたい”と思う針路に舵取りをしていけるのが素敵だと思うのです。自信を持ってやましいところなく商いを長く続けていくために、これからも知恵を絞り続けたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?