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仲間がいれば、恥ずかしくは無い

エロな友達が集まると、話すことはエロな話である。

「最近、エロ本にも飽きましたなー」
「そやなー、でも、ほかになんかええモンあるかいな」
「エロビデオはどないやろうか」

早速、エロ友数人と、エロビデオ購入の冒険に出発したのは、中2の春だった、いや、秋だったかも知れない。

目標は、大阪、日本橋の電気街。聞くところによると、電気街の通りにエロビデオを売っているところが、数カ所あるとのことだった。

電気街へは、エロ友4人ぐらいで行ったと思う。ジーンズのポケットには小銭を入れ、お札は靴下の中に忍ばせて。ツータックのボンタン型ジーンズに、ボーリングシャツで大人っぽく見せようと頑張ってはみたが、どうみても中坊にしか見えなかった。

しかし、4人もいると恥ずかしさも薄れ、あたって砕けろの精神でエロビデオをレジに持って行くと、いとも簡単に、あっけなく、エロビデオを買うことができた。買ったエロビデオは、確か3本セットか4本セットだったように思う。

もちろん 念願のエロビデオを購入することができて喜んだのだが、実はエロ友4人の間で、ビデオデッキを持っているのは、一人だけしかいなかったのだ。そのため、エロビデオ鑑賞会がいつ行われるかは、購入した時点では、まだ決まっていなかった。

「Tようー、早くエロビデオ見せてくれよ」
「わかってるけど、家に誰もいない日やないとな」
「T、頼むから早くしてくれな」
「わかってるって、いうてるやろ。しつこいねん、待っとけ、ボケ」

エロ友全員の願いがTの家族に届いたのか、エロビデオ鑑賞会は意外に早く訪れたのだが、その日は宿泊学習の前日だった。このことがきっかけで、後で問題を引き起こすことになるのだが、その時は、まだ誰もそのことを知る由は無かった。

念願のエロビデオ鑑賞会。たぶん、エロ友全員が本格的なエロビデオ見たのは、その時が初めてだったと思う。

「T、お前一人で見てないやろうな」
「当たり前じゃ、見てるわけないやろ」
「いやいや、わかりませんよ」
「ほんなら、パッケージ見てみろや。ビニール破れてないやろ」
「そんなに怒るなや、冗談やんけ」

と相変わらずのアホなやりとりをする中、エロビデオがデッキの中に吸い込まれていき、待望のエロビデオ鑑賞会が始まったのだった。

今となっては内容は全く覚えていないのだが、いきり立つ股間のカチンコチンを友達に悟られないように苦心していたことは、ハッキリと覚えている。(アホ、恥ずかしなるわ)

ちなみに、伝説の裏ビデオ「洗濯屋 ケンんちゃん」を見たのもTの家だった。中学3年のときである。(アホ、アホ、アホ)

次の朝、一泊二日の宿泊学習で、校庭に集まってくる誰もが興奮気味で、あっちこっちでワイワイやっていた。

そうこうしているうちに、校門をくぐってこちらに向かってくるTの姿が目に入った。しかし、こちらに近づいてくるTの表情が心なしか暗く感じられたのだった。

「T、どないしてん。体調悪いんか」
「今、学校来る途中で思い出してんけど…」
「なんやねんな、どないしてん」
「昨日、みんなでエロビデオ見たやろう」
「うん、見た見た。なんや、一人でやり過ぎたんかいな」
「アホ、してるか」
「ほな、なんやねんな」
「エロビデオ、デッキから抜いてくるの忘れてたんや。それを今頃、気が付   いてもうてん。親父に見つかったら、絶対に殴られると思うねん」
「あっちゃー、マジで、最悪やん」
「そやねん」

しかし、観光バスに乗り込む頃には、何事もなかったかのようにTは元気を取り戻していた。一泊二日の宿泊学習も、昨日のエロビデオ鑑賞会の話で盛り上がった。

学校での解散後、Tは「デッキの中にエロビデオが残っていますように」と、いちるの望みを胸に帰宅したとのことだが、デッキの中にはエロビデオは残っていなかったそうだ。その夜、お父上に呼ばれたTは、お父上から鉄拳制裁を食らったということだった。

そして、それ以後、遠出までしてみんなで手に入れたエロビデオの行方は・・・

母さん、僕たちのあのエロビデオ、どうしたでしょうね。
ママ~ ドゥユゥ~ リメンバ~ (人間の証明風)








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