はじめてのグリーフケア原論
昨夜、グリーフケア原論の中間レポートを提出した。
上智のグリーフケア人材養成講座がスタートしてから2ヶ月で4本目のレポートだった。
これは講義してくださる先生のパートが完了するたびに、”講義を通じて学んだこと、考えたことを短く(800字/1000字)でまとめる”というもので、リアクションペーパーとも言うらしい。書くことで、自分の心に一番響いたのが何かわかるし、考えが整理される気がして、面白い。
グリーフケア原論の本たち
グリーフケア原論の授業では、平たくいえば(多分)「グリーフとは、ケアとは、グリーフケアとは、何か?」ということを、古今東西のこれまでの医療や精神分析をルーツにする研究と、宗教や社会、文化の側面からの考え方を、先生方の圧倒的な知識と多面的な考察や葛藤も含め、学ばせていただいている。
その凝縮された英知を、私が紹介するなんて、逆立ちしてもできない…ので、授業でこれまでに参照や紹介された本のほんの一部をご紹介。
グリーフケアの研究のルーツはフロイト先生に始まるそうで、授業の中で名前が出てくる選手権があれば、ぶっちぎり優勝。その後の研究者たちがフロイトという巨人の肩に乗って、自分の研究や論理を展開して行ったことがよくわかる。ただ、私は『喪とメランコリー』の序文だけでお腹いっぱいになったので、写真にフロイトの本はない。
名前が出てくる選手権の第2位は、エリザベス・キューブラー・ロス。『死ぬ瞬間 - 死とその過程について』は、1969年に出版されて以来読み継がれている、ターミナルケアに関わる人にとっての「聖書」とすら呼ばれている(と、あとがきに書いてあった)。人生の最終段階とそこにある感情を学ぶため、末期患者やその家族にもインタビューを重ねた記録。付箋では間に合わなくなって、蛍光ペンでハイライトを入れながら読んだ。図書館で借りたキューブラー・ロスの他の本も読むつもり。
「タゴールの詩が、本当にいいんです」
ちなみに『死ぬ瞬間』の各章の扉には、ラビンドラナート・タゴールの詩の一節が書かれている。
授業で葛西先生がふとつぶやかれた「各章の扉のタゴールの詩がですね、本当にいいんです」という言葉がずっと頭に残っていたので、私が本を開いて、最初に探したのはタゴールの詩だった。
別れのときが来た。さようなら、兄弟たちよ。私は君たちみんなにお辞儀をして、出ていく。
さあ、私の扉の鍵をお返しする。私は自分の家の権利をいっさい放棄する。君たちから最後の優しい言葉だけが聞きたい。
私たちは長いこと隣人どうしだったが、私は与えるよりももらうほうが多かった。いま夜が明け、部屋の暗い隅を照らしていた灯火は消えた。お召しがきたのだ。私は旅支度ができている。
タゴール 『ギーターンジャリ』 九三節
タゴールが好きな方、気になった方には、今まさに上映中の『タゴール・ソングス』もおすすめです。タゴールの歌とベンガルの人の心のつながりを、日本人の女性監督が追ったドキュメンタリー映画で、7月末までは仮設の映画館(オンライン)でも見られます。
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