水とは〜しぜんのかがく8月ep.05 防災豆知識~夏の備えにもオススメ、冷却パック。
水の性質
身近にある水。今周りを見渡しても水がない生活は考えられないでしょう。
水はそもそもなんでしょうか?
水分子を持ってきました。
H20(エイチツーオー)の水、水素原子2個と酸素原子1個がつながってできています(共有結合)。この形がわかったのも、まだ最近(二百年前くらい)なんです。
このみなさんがよく知っている分子は水はとても不思議な性質を持っています。主な性質を4つ紹介しますね。
①水は日常生活(私たちが住む世界)で「液体ー固体ー気体」に変化します。水、氷、水蒸気ですね。この変化は「物質の三態」と呼ばれますが、実は自然界には他にこういう物質は他にはありません。例えば、二酸化炭素(CO2)。目に見えませんが、空気中にありますね。二酸化炭素はどうでしょう?固体はドライアイス。液体は?実は私たちの住む世界では存在しません。(6メガパスカル=6気圧の圧力をかけないと液体として存在しないんです。
地球は1気圧1013.25[hPa]=101325[Pa]))
(参考)二酸化炭素の状態変化 NHK for School
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005401329_00000
このコップに水を入れましょう。液体ですね。氷を入れてみましょう。浮かびますね。ちょっと想像してみてください。液体が固体になるって、この分子がギュッと集まってくる現象ですね。普通は重くなると思いませんか?
※物質は違いますが、ここに食塩である塩の固体を入れても沈みます(塩は液体にすると800℃を超えますので塩の液体に塩の固体を入れることはなかなか難しいのでイメージです。)。塩は液体より、固体の方が重たいです。
なぜ氷は浮かぶのでしょうか?
水分子のH-O-H結合が、少し曲がっているので(角度104.5度)、実は組み合わせると六角形の形になるんですね(実際は正4面体)。酸素と水素が水素結合で引き合ってます。そうすると隙間が空いて、密度が水より少なくなるんです(約8%少なくなる)。
【KEKエッセイ #13】チコちゃんは知ってる!?氷はなぜ水に浮かぶのか
https://www.kek.jp/ja/newsroom/2019/08/21/1219/
また、六角形を組み合わせると…どうなるかというと、雪の結晶になるんです。写真は6角形ですね。
そして、水(液体)と氷(固体)は見てもらいましたが、こちらのグラスを見てください。空気中の水蒸気(気体)が液体の水に代わってグラスの周りにくっついたんですね。水蒸気は目に見えないですが、空気中に含まれています。
水蒸気って言うと、ヤカンの口や温かい飲み物の上から出てくるモワモワとした白い煙みたいなものを想像すると思いますが、それは水蒸気ではなく細かい水滴なんですよ。
2つ目に紹介するのは、水の表面張力です。
表面張力とは液体がその表面を小さくしようとする力です。先ほどお見せしたように、水分子の水素結合で互いに引き合っているから起こります。水銀を除き、水は表面張力がとても大きな液体です。グラスの水をフチのスレスレに入れて、ビー玉をたくさん入れてもなかなかこぼれません。
前回土のお話(7/14)をした時に土の塊の団粒構造の間を通る水のお話をしましたね。水のこの表面張力で水分子同士が引き合う力があるから毛細管現象で水が植物の隅々まで浸透するのですね。
3つ目は比熱です。
水の比熱は1グラムの水の温度を1度上げるのに必要な熱量です。
水は1カロリーですが、他の液体と比較して大きい比熱を持っています。熱しにくく冷めにくいのが水です。(1kcal=4.184kJ。)
<<防災豆知識1>>夏の備えにもオススメ、冷却パック。
4番目の性質として、私が理科に興味を持つきっかけになった、凝固点降下についても実験してみましょうか。
氷に「塩」を入れます。氷と塩が両方溶ける(固体から液体になる)ことで、周りの熱を吸収します。吸熱反応と言います。マイナス4度くらいになりますね。
この凝固点効果を利用すると防災に役立つものが作れるんです。今回は尿素を使います。
※尿素は、植物の肥料として、インターネットやホームセンターで購入できます。
(尿素とは、食物で取り入れたたんぱく質が体内で分解されたあとの最終産物です。尿素は肝臓でタンパク質の分解物であるアンモニアから合成され、血液によって腎臓に運ばれ、腎臓内の糸球体でろ過されて尿中に排泄されます。アンモニアはタンパク質が分解されると生じるのですが、人体には有害なので、素早く人体に安全な尿素に合成されるのですね。)
尿素は水分の保持作用があるので、化粧品保湿クリームなどに使われています。
ここにある尿素は工業用に作られたものです。
尿素(100g)に水(50ml)を入れてみましょう。急激に温度が下がります。おそらく5℃くらいまで下がリます。
(参考)化学だいすキッズ 冷却パックを作ろう!https://kdc.csj.jp/learning/item_1746.html
実は市販の冷却パックは、尿素よりさらに吸熱量がある硝酸アンモニウムが入っています。叩くと水が入った袋が破けて吸熱反応が始まります。5℃程度まで温度が下がり、暑い日には重宝します。
この冷却パックは、30分ほど持ちます。使い終わって、もし冷蔵庫が動くようになったらもう一度凍らせれば、保冷剤としても使えます(この場合、吸熱反応は起こりません。)
災害は気候の良い時ばかり来るわけではありません。夏の暑い時、地震や台風で停電し、エアコンや扇風機が使えなくなるかもしれません。冷却パックやハンディ扇風機など(私は停電に備えて、蓄電池式のポータブル電源も準備しています)少しでも涼しく過ごせる準備も必要です。
⭐️Podcast本編はこちら↓宜しければお聴きください♪
神田沙織 がりれでぃ スピンオフ
ナチュラル・サイエンス・ラボ
しぜんのかがく