![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158855119/rectangle_large_type_2_e770d412bd1ff096689e61749bc1cdcb.png?width=1200)
呉服屋の御用聞きが進化した「外商」と、海外のパーソナルショッパー(富裕層の世界)
パーソナルショッパーとは?
パーソナルショッパーは、主に富裕層を対象としたショッピングアシスタントで、顧客のライフスタイルやニーズに応じて最適な商品を提案する専門職です。顧客にパーソナライズされた買い物体験を提供し、服、アクセサリー、インテリアから特別なギフトまで、あらゆるカテゴリーの商品を手配します。このサービスは時間に制約のあるビジネスパーソンや特別なイベントを控えた人々に人気です。
欧米や中東の富裕層に向けたパーソナルショッピングは、特にラグジュアリーブランドや高級デパートで展開されています。例えば、顧客は専用のプライベートルームで買い物を楽しんだり、スタッフが自宅やホテルへ商品を届けたりする、非常にパーソナライズされた体験を提供されています。
江戸時代の外商の原型「御用聞き」
日本の外商文化は、江戸時代にそのルーツを持っています。江戸時代、特定の富裕層や大名、武家を対象にしたサービスがあり、それが現代の外商の基盤となっています。これを「御用聞き」と呼び、呉服店や薬局、酒屋などで盛んに行われていました。
「御用聞き」は、顧客の自宅を訪問して商品を提案したり、要望を聞き取り、店の商品を代わりに手配する役割を担いました。特に、呉服店では、富裕層の顧客との深い信頼関係を築くことが重視され、長期的な付き合いが生まれました。このような個別のサービスと信頼構築は、現在の外商員の役割に通じています。
呉服店と顧客との繋がり
江戸時代の呉服店は、富裕層や大名の顧客に対して特別なサービスを提供していました。着物は非常に高価であり、顧客は信頼のおける呉服商と長期的な関係を築き、着物の選定から購入までを任せていました。着物は家族の財産として重要視され、顧客との強い絆を維持することが商売の要となりました。
こうした顧客との繋がりは、家族代々に引き継がれ、長期的な関係が築かれました。呉服商は顧客のライフスタイルや個々のニーズを詳細に理解し、特別なイベントや家族の節目にふさわしい商品を提供することで信頼を深めました。
現代の日本の外商
外商とは、日本のデパートが富裕層に提供するサービスで、特に高級品や特別な商品を扱う際に大きな役割を果たしています。外商員は、顧客の家やオフィスを訪問し、顧客のライフスタイルや好みに合わせて商品を提案し、買い物をサポートします。この個別のサービスは、特定のデパート、例えば三越、伊勢丹や高島屋、松坂屋が提供しており、富裕層や長年の顧客に特別な買い物体験を提供しています。
名古屋の松坂屋では、売上の約半分を外商が占めているというのはよく知られています。
現代では、オンラインショッピングが一般化したものの、外商のサービスは依然として人気があります。特に富裕層の顧客に対しては、外商員が顧客のニーズに合わせたパーソナライズされた商品提案を行い、家族や友人への贈り物や特別な記念日のためのアイテムも手配します。
パーソナルショッパーと外商の比較
パーソナルショッパーと外商には多くの共通点がありますが、いくつかの違いもあります。
サービスの提供範囲: パーソナルショッパーは個々の買い物をサポートすることがメインですが、外商員はその範囲を超え、顧客のライフスタイル全般にわたってサービスを提供します。(旅行のアレンジから不動産購入のための情報サポート等)
国際的な視点: パーソナルショッパーは、世界中で富裕層向けに展開されるサービスであり、特にラグジュアリーブランドが主導しています。日本の外商は、江戸時代から続く「御用聞き」文化に基づき、国内のデパート業界に特有の信頼関係を重視しています。
顧客との関係: 外商員は長期的な信頼関係を築き、家族ぐるみの顧客になることが一般的です。一方で、パーソナルショッパーはイベントごとや特定のブランドに特化してサービスを提供することが多いです。
**パーソナルショッパーは特定のブランドに特化する場合が多いですが、例えばハロッズやフォートナム&メイソンのような高級デパートでは、もう少し広範囲なサービスが提供されています。これらのデパートのパーソナルショッピングサービスは、特定のブランドに限らず、デパート全体の商品を扱うことができます。
ハロッズ(Harrods)
ハロッズは、ロンドンの象徴的な高級デパートであり、パーソナルショッパーが多岐にわたる商品を取り扱います。ファッションやアクセサリーはもちろん、家具、食品、ワインまで幅広いジャンルの商品を提供しています。ハロッズのパーソナルショッピングサービスは顧客の要望に応じて最適な商品を提案し、買い物の体験全体をパーソナライズするため、特定のブランドに限らず、ハロッズ全体の豊富なラインアップから商品を選ぶことが可能です。
フォートナム&メイソン(Fortnum & Mason)
フォートナム&メイソンも、ロンドンの歴史あるデパートで、特に高級食品やギフトが人気です。ここでもパーソナルショッパーは、ティー、ワイン、贈答品からインテリア、雑貨まで幅広い商品を提案します。特にハイエンドな食品やギフトセットの提案に定評があり、顧客に対して非常に個別のケアを提供しています。
これらのデパートでは、顧客のライフスタイルやニーズに応じて、特定のブランドに縛られることなく、デパート内のあらゆるカテゴリーの商品を提供できるのが特徴です。そのため、顧客に合わせた幅広い商品選択肢を提案することが可能で、パーソナルショッピングサービスはその点で非常に柔軟です。
外商の進化と未来
デジタル化が進む現代において、外商の形も変わりつつあります。オンラインでの買い物が普及する中、外商員は依然として個別のサービスを提供し、顧客のニーズに応じたオンラインショッピングのサポートも行っています。さらに、外商の一部はラグジュアリーブランドと提携し、グローバルな視点から高級商品を提供する取り組みも進んでいます。
パーソナルショッパーと外商のサービスは、どちらも個別のニーズに対応した買い物のサポートを目的としており、富裕層に向けた特別な体験を提供しています。日本では外商の文化が強く根付いていますが、グローバルな市場でのパーソナルショッパーの需要が拡大するにつれて、両者の融合や新しいサービスの形が生まれる可能性もあります。
まとめ
パーソナルショッパーと日本の外商は、どちらも富裕層向けの高度にパーソナライズされたショッピングサービスです。日本の外商は顧客との長期的な信頼関係を重視し、家族ぐるみの関係を築く一方、パーソナルショッパーは一度きりのイベントやブランドに特化することが多いです。それぞれのサービスが持つ特性は、顧客に対して特別な価値を提供し続けています。
富裕層向けのライフスタイルや買い物体験に興味のある方は、これらのサービスを活用することで、より特別で洗練された体験を得ることができるでしょう。