【エッセイ】無明長夜
…。
……。
………。
眠れない。
時々、眠れない夜がある。
何かに囚われたかのように、ずっと目が冴えている。
あぁ、またか。
そんな日はネットサーフィンするに限る。
と、スマホを開き適当にページを開く。
欲しいメイク道具。行ってみたい場所。最近の友達の投稿。芸能人のゴシップニュース。
あぁ、目が疲れてきた。
もう寝れそうだ。
そうして、目を閉じる。
しかし、
月明かり、街灯、信号機、コンビニの明かり等々諸々の明かりが凄く気になる。
今度は目を手で覆ってみる。
思いのほか手が温かい。目を動かすと眼球の動く様子が手に直接伝わり気持ち悪い。
手が疲れてきた。
もー。
なんでこんなにも寝れないんだろう。
もう一生寝れない体になってしまったんだろうか。
そういえばこの前電話した友達大丈夫かなぁ。
すごく悩んでいたけれど解決したかなぁ。
てか、なんで人は悩んだり不安になったりするんだ。
人間ってめんどくさいなぁ。
神様はほんと無慈悲だよなぁ。
なんで人って存在しているんだろう。
少し明かりに照らされた部屋で、頭の中で私が独り言を延々と繰り返している。
寝たいんだけど私は。
布団の擦れる音。
時々通る車の音。
チャリが走る音。
チャリが走る音?こんな時間に??
……。
寝れんなぁ。
意味もなくストレッチとかしてみる。
体がポキポキいう。
歳とったよなぁ。23だけど。
てか最近筋トレしてないなぁ。
しなきゃ。
体硬すぎ痛すぎなんだけど
よし、体動かしたし寝れるんじゃない?
…。
無理だ。
なんか睡眠導入音楽みたいなんないかな?
YouTube開こ。
あっ、あった。かけてみよ。
〜♪(ゆっくりと流れる壮大な音楽)
…。
ただ煩いだけやん。
もーーーー誰。
睡眠導入音楽とか言った奴。
ふと時計を見る。
午前5時。
は?5時?
まじ?
ありえんのやけど!
もう絶対寝れんやん。
半ば諦めモード。
カチカチとなる時計の音。
さっきより増えた車の音。
遠くで聞こえる電車の音。
こんなに眠れないの久しぶりだ。
目が重たい。けど冴えている。
起きよう。
午前6時半。
私は起き上がって、洗面台へ。
クマがくっきりとついている顔。
あーあ。やっちまった。
いつもの要領でコーヒーを淹れる。
そうこうしていたら父が起床してきた。
「早いね。」
「一睡もできんかってん。」
「…そりゃあかんねぇ。」
あかんよなぁ。
自分に辟易しながらコーヒーを啜る。
いつの間にか外はうっすら明るくなっていて。長い、長い、とてつもなく長く感じた夜が明けた。
今夜は寝れますように。
そう願い、またコーヒーを啜った。
『無明長夜』
煩悩を振り払うことが出来ず、悟りを得ることが出来ない様子。