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【高野麗子ってどんな人?番外編8】桜が咲いたら、あなたに会いたい。
高野麗子です。
(⚠️こちらの記事は2017年3月当時に書いたものコピーです。)
実は、25日は、父の一周忌です。
去年の3/27、私は新宿のセミナー会場で、本番を迎えていました。
セミナースタンバイ前で、最終チェックで集中している私のもとに、
アシスタントさんが、「麗子さん、今男の人の声で、電話がありました。」と伝えてきました。
なんだろうと思った私は、スマホに入っていた留守電を聞きました。
「高野さん、笹生です。お父様の件で至急連絡ください。」
そう一言だけ入っていました。
でも、セミナー開始まであと5分と言う所。
留守電の深刻な声に、私は本能的な恐怖を覚えましたが、抑えてセミナーを始めました。
3時間のセミナーが終わり、会場の片付けが始まる中で私は急いで、電話をくれた笹生氏(父の親友)に折り返しをしました。
もうなんかどこかでわかっていましたが、予想した通り、
「高野さん、お父様が亡くなりました。
お風呂場で溺死と思われます。
すぐに兵庫に帰れますか?」
という、電話でした。
震える声ではい、すぐに帰ります、と伝え、
アシスタントさんとゲスト講師の方に懇親会はお任せして、会場を後にしました。
タクシーの中で勝也に電話をしました。
「パパがなくなったから、一緒に兵庫にきて。」
「は!?」
驚いた勝也の声はまるで別人に聞こえました。
私はタクシーの中で、ずっと声を殺して泣き続けていました。
いちど家に帰り準備をし喪服を出して、
もう一度タクシーに乗り、新横浜の新幹線乗り場を目指しました。
新横浜は、霧が出ていました。
「変な天気だね」
と、私は勝也に言いましたが、後で確認したところその日、
霧は出ていなかったそうです。
強いショックを受けると視界の上半分が白くモヤがかかると言うことがある、と、あとで知りました。
セミナーが終わったのは5時半。
自宅に着けたのは、6時半。
新幹線に乗れたのは8時。
父の待つ、地元の駅に着けたのは、夜11時を回っていました。
まだ3月の夜は寒くて、夜遅くの地元の駅は暗くて、
行ったこともない警察署の、遺体安置室に、父はいました。
正確に言うと、私はドアの前ですくんでしまい、
その薄暗い部屋に入ることができませんでした。
勝也が代わりに部屋に入り、父を、確認してくれました。
かすかに漂う死臭が、私の足をさらにすくませ、私は、父の遺体と対面することができませんでした。
そこからはあまり覚えていません。
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ただ、地元で愛されていた父のために、
父のお友達や、よく飲みに行っていた料理屋のご主人たちが、
葬儀にたくさん集まってくださいました。
そうして執り行われた式に、せめて喪主として、
ご挨拶をしようと思いましたが、
用意されていた型通りの原稿を、
ぼろぼろ泣きながら読むので精一杯でした。
父の遺体は痛みが激しくなり、
遺体袋に収められ、顔までファスナーでおおわれて、
フタを閉められていたため、
お花を入れてあげることはできませんでした。
だから、母と同じ火葬場で、骨を拾い、骨壷を抱いた時、とても嬉しくて、
やっとやっとさわれた。
父に触れられた。
と思いました。
火葬場から街に出る道すがらは、桜が咲き出していました。
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父が、「れいちゃんは花が好きだから。
パパがいなくなる悲しみが、少しはマシになるかと思って。」
と、なくなる時まで気を使ったんだろうな、と思いました。
私の最初の本が出版される直前で、
「そうかあ、れいちゃんはアマゾンに認められたんだな!」
とうれしそうに、よくわからない勘違いをしていました。
人に優しくて、よく気を使う、可愛らしい父でした。
父が亡くなってから、1年が経とうとし、もうすぐ桜が咲きます。
桜が咲いたら、また、父が会いに来てくれると思い、1年を過ごしてきました。
大好きな人が生きていてくれること。
それはとても幸せなことです。
人は突然死にます。
でも私もあなたも、今日も生かされています。
あなたの、大好きな人が生きていてくれる。
それだけで、本当は、いいよね。
大好きな人が人の姿をしているうちに、一緒に笑ったり泣いたりぶつかったり。
そしてどんなに愛しているかを、苦笑いされるまで、わたしは、伝えていきたいなと、思っています。