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「生きにくいって不幸だと思う?」

「ねぇねえ、あのさ。」
「なぁに?」
「僕ね、死にたいんだ、もう、生きるのやなんだ。」

こんなやり取りがあったとしましょう。
貴方は、どんな言葉をかけてあげますか?

僕は、生きにくさを感じながら生きています。
生きたいとも思ってないです。でも、生きています。
死ぬのが怖いから。ただそれだけの理由です。
死ぬのって怖くないですか?
よく自殺してしまう人のニュースを見ますが、僕はそれを見て、可哀そうとか、あんま思わなくて。
よくその死ぬという決断を無事に実行できたなと、その勇気を羨むことだって正直あるくらいです。
さっきの問いも、僕はその人に何も言ってあげられないなぁと思います。
励ましの言葉とか、心配の言葉とかも、何も言ってあげられないと思います。

なんでかって?

一番は、自分がそこまで責任を持てない、という身勝手な理由です。
でももう1つ理由があって。

僕は、精神疾患を患っています。
僕は、自傷行為がやめられないです。
僕は、自分の心の性がわかりません。
僕は、毎日死にたいという気持ちを拭えません。

これを聞いて、これを読んでいる貴方は、僕のことを可哀そうだな、と思いますか?
思う人も、思わない人もいるでしょう。
でも、僕は可哀そうとか、辛そう、とか思ってほしくなくて。
だって、僕は辛くないんですから。
え?
精神疾患持ちで、自傷行為もして、セクシャルマイノリティで、毎日死にたいと思っている人間が、辛くないと言い張るのは可笑しいって?
そう思う人もいるかもしれないです。
でも、僕は辛くないです。
だって、それらのおかげで成長することができたのですから。
辛くないけど、幸せでもありません。
でも、僕はそれでいいかなと思えています。

だから、もし、僕と同じように、死にたいという気持ちを抱えていても、励ますことや、心配することが必ずしも正解だとは思わないことに、僕はしています。
そう思うので、僕は先ほどの問に、何も言えない、と答えます。

僕は、いろんなマイノリティを抱えているから、気づけたことがたくさんあります。
僕は、いろんなマイノリティを抱えることによって、いろんな人の気持ちが解るようになりました。

僕は、現在高校三年生ですが、高校一年生のとき、不登校になりました。
そして僕には元不登校の妹がいます。
妹が不登校のときは、僕は不登校の人の気持ちが理解できませんでした。
当時の僕は変に真面目だったので、「いかなければならない」学校に通わないことはおかしいと思っていました。
でも、実際自分が不登校になって、学校に通うという「当たり前」ができないことがどれほど辛いのかというのを痛感しました。
今まで、黒い気持ちを抱いていた妹に対しても、そんな醜い気持ちを抱いて申し訳なかったという気持ちが大きくなりました。

そしてその不登校時代、僕は統合失調症と診断されました。
そして、僕にはうつ病の父がいます。
父は今は病状がよくなって、普通に僕ら家族のために働いてくれていますが、自宅療養していたときがありました。
そのとき、僕はなんと声をかけたらいいのか解らず、戸惑うことも多かったのですが、僕が精神疾患を経験して、下手に声をかける必要はないのだと思うことができました。(これは少し身勝手かもしれませんが)

そして僕は不登校が続き、留年の危機が迫ったことを受け、僕は通信制高校に転校しました。
今はまだ全日制高校に行くのが当たり前、とされているので、僕はまた、マイノリティに所属することになりました。
最初は僕も後悔の連続で、転校のきっかけとなった病気を恨み続ける毎日が続きました。
でも、次第に他の生徒や先生と関わるうちに、この世界にはいろんな人がいることを知って、自分と他人の違いに寛容になりました。

こんな感じで、僕はマイノリティに所属することで、他人のことを受け入れられるようになりました。

僕は、それがすごく幸せだと感じています。
だから、病気になったことも、不登校になって転校したことも、その他諸々のマイノリティに所属していることも、悪くないかなと思います。

僕は、昔から他人に興味がなくて。
他人に合わせて流される生き方なんてつまらないと思う人間で。

そんな僕が、他人を受け入れられるようになったのは、いろんなマイノリティに所属することが、大きく影響したのかなと思います。

だから、今生きにくさを感じている人にはちょっと考え方を変えてみればいいのではとも思ったり。
別に無理に前向きに思う必要なんてないんですよ。
無理に前向きになって考えて、余計に疲れることもありますから。

僕は、生きにくさのおかげで、幸せを感じることができています。
だから、別に死にたいとも思わないんです。
この世界は残酷で、僕にとってはすごく生きにくく感じます。
でも悪い気はしないなって思います。



皆さんは、この世界は生きにくいと感じますか?



この問いを持ってこの文章を終了します。




#創作大賞2023 #エッセイ部門

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