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【英語の悩みQ&A】 ウン十年ぶりの英語。単語帳 1冊 終わった次のステップ
英語学びなおし、英単語帳からスタートした人の話 (桐原書店さんの[Database 1700]を使いました)。
ウン十年ぶりの英語。久しぶりの勉強だったので少し心配でしたが「こんな単語あったな」や「なんか聞いたことある」というレベルの英語だったので、なかなか楽しめた。
やり直し英語、スムーズな滑り出しです。
大人になって語学をやった人なら分かってくれると思うけど、[単語帳を1冊終わらせた]って、スゴいこと。
買って数ページだけ手をつけて、ほっぽり出したテキストが何冊も本棚に鎮座している…. そんな状況の人がウヨウヨいるのが大人の語学界隈ではないでしょうか。
仕事をしながら、毎日暮らしながら、[語学を続ける]のは、それほど難しいことだと思っています。かくいう私もフランス語の単語帳は途中までで保管中です…いつか使う(はず)
「次、何をしますか?」という相談をしました。
少し前までだったら、2つのオプションを提示していました。
1)同じ単語帳をもう1周する
2)難度の高い単語帳に進む
単語帳を1回通しでやっても、後ろの方をやっている頃には前半のページに載っている単語たちの記憶はかなり薄くなっている。だから、もう1周回して記憶を定着させる (オプション1の理由)。
Database1700の単語では日常会話をしていくのには不十分だから、もっと難しい単語がもっと多数載っている単語帳に進み、語彙力を上げる (オプション2の理由)。
何年もの間、何人もの[やり直し英語]をサポートしてきて感じたのは、
どちらのオプションも
時間と労力に比例するほどの
リターンは得られないことが多い
もちろん、2周、3周(同じ単語帳を10周以上した人もいました…)すると知っている単語は確実に増えますし、難しい単語帳をやれば語彙力もアップします。
でも、オプション1)、2)を繰り返しても、いつまで経っても「語彙力が足りない。だから英語が話せない」と感じる人の多いこと。
いつも、なんでだろう….どうすればいいんだろう….と悩んでいました。
最近、オプション3)ができました!
3)単語帳は一旦おいて、多読
「多読するには語彙力が足りない」と感じるかもしれませんが、Database 1700がカバーする中学レベルの語彙力でも、多読はできます。
ちなみに私の英語コーチングでは、こちらを使っています↓
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理解できるレベルの一段下、「カンタン」と感じる英語をとにかく大量に読みましょう。
これが私が最近オススメする、1冊目の単語帳を終えた人の次のステップです。
語彙力には、width (ひろさ)とdepth (ふかさ)があります。単語帳でできることは知っている単語の数を増やすこと。語彙力の[ひろさ]に効きます。
でも、語彙力の[ひろさ]だけをどんどん向上させても、「使える英単語が増えて、言いたいことが言える」状態にはなるのは難しいのです。
ある単語を知っている[深さ]が浅かったら、使えるレベルまで「知っている」ことになっていないのです。
語彙力の[ふかさ]ってなんだろう??を考える際に、とても参考になるのが、言語認知発達や言語心理学を研究されている 今井むつみ先生の「英語独習法」で説明される[母語話者が持つ「生きた」単語の知識]
1. その単語が使われる構文
2. その単語と共起する単語
3. その単語の頻度
4. その単語の使われる文脈(フォーマリティ)
5. その単語の多義の構造(単語の意味の広がり)
6. その単語の属する概念の意味ネットワークの知識(近接する単語とどう違うのか)
1〜6の知識に支えられた語彙力をもつことが、1つか2つの対応する日本語を知っている英単語をたくさん知っているよりも大事。
英語の初学者には1〜6がほとんどない。個々の単語の意味をバラバラに覚えているだけでは「使える」英語知識にはならない。
単語帳で「make=つくる」英語-日本語の1つの訳をどんどん入れても、それは生きた単語の知識ではない。バラバラの情報が頭の中に増えていっても、語彙力の[ふかさ]が足りず、「使える」英語知識になっていかない。
この状態に効くのが多読をはじめとする、大量の英語をインプットすること。
これを単語帳を何冊もやってからじゃなくて、すぐに始めることが、すごく効果的だと感じています。バラバラの知識が少しずつ繋がっている実感を、学習の初期に感じられるのは大切。
「このまま続ければ、いい未来が…」
そんな希望があれば、続ける気持ちも強くなる。
実際に多読をして、語彙力がついてきたことを実感しているクライアントさんもいるし、何より多読を楽しんでいる人が多い。
せっかく無事に1冊 英単語帳を終わらせて幸先の良い[やり直し英語]をスタートしたのだし、楽しく続けられたら もっといい。
結論、
次のステップは、多読がオススメ。
Oxford Reading Clubのようなサブスク型の多読なら、気軽にたくさんの本を読めます。
永木 れいか : 英語コーチ・日本語教師
外国語を身につけたい人にとって、学びのプロセスそのものが意義ある、楽しいものであって欲しい。その先に、自由でやりたいことのできる人生が広がる。そんな想いで外国語習得のサポートをしています。