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知恵熱?

知恵熱、というものが人生後半に差し掛かった今でもたまに起こることに驚く。

元はと言えば乳歯が生え始め周囲で起こっていることに気付く「知恵」を持ち始めた乳児に起こる突発性の発熱を指すが、大人になってからのそれは『ストレス性高体温症』と呼ぶらしい。

特段ストレスフルでは無い生活を送れている自負があるのだが、ルーティンではない言動を一度ならず度重ねた時にどうやら僕の場合はこの『ストレス性高体温症』が起こるようだ。

裏を返せば非常事態に対して耐性が失われている証であり、若い頃のように多少のハプニングならへっちゃら!では無くなっているということだから中老も終わりを迎えている歳の身としては十分に自覚して注意深く生きるべきなのだが、それがなかなか難しい。

体力はジェットコースター並みに低下しているのに、免疫力はやたら強いという体質もまた厄介である。罹患した瞬間に発熱してぶっ倒れ三日間飲まず食わずであればちゃんと休息も取れるであろうに、なまじっか無理が効いてしまうしどんなに体調が悪かろうが食欲だけは落ちないので腹一杯食ってグッスリ眠れば大抵一晩でウィルスは抑え込んでしまう。

そんなミュータントレベルの僕でもたまに知恵熱が出る。普段疎かにしている部位を筋トレしたり慣れない動きのダンスを会得するためにがむしゃらに動いた数時間後にグングン調子が悪くなる。コロナ禍ではその度にいちいち「また感染か…」とビクビクしていたものだが持ち前の食って寝りゃ何とかなるシステムにより心配は徒労に終わってきた。

振り返れば穏やかなようでいて実は猛烈に色んなことを欲張って行ってきた一年の終わりにめでたく発熱。朦朧としながらも尋常では無い量の針生姜を投入した鍋を拵え貪るように食べてベッドに入ったら翌朝には普段よりもスッキリと目覚めた。厄落とし、みたいな感覚もある。

しかし、過信は禁物。来年は迫り来るストレスを事前に察知して一目散にピャーッと逃げられる潔さを身に付けようと思う。

熱にうなされながらも描く気力は失わない。最早これは執念と呼ぶべき。

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