中華系企業の米国IPO回帰に関して思うこと 〜機会の平等とAmerican Dream〜
政治的な思惑や米国の領空を侵犯した気球騒ぎとは裏腹に、
ウォール・ストリートでは、
中華系企業の大型IPOで沸いている。
悲劇的な幕引けとなった2021年のDidi(滴滴出行)
以降の大型IPOである。
基本的に中華系企業の米国上場は、
中国にある事業主体がそのまま米国に上場することはない。
アリババにせよ何にせよ、
中国事業主体の持ち株を有する海外法人
VIE(Variable Interest Entities : 変動持株事業体)
が米国に上場する。
この法人はCaymanであったりBVIであったり、
米国でも法人税優遇のあるデラウェア州であったりする。
これはあくまで中国という独特の法制度に対応するために組成されたものであるが・・・
実は税務効果も高い。
例えば、日本の事業会社を保有するHD会社を設置。
そのHD会社をタックスヘイブンに登録している親会社にもたせると・・
HD会社からの配当に関する免税を享受できる様である。
また、仮にこのHD会社の株式を譲渡する場合、
株式価値の1,000分の2に相当する印紙税も不要であるようだ。
よく海外上場は、日本に上場できない奴がやる・・・
などという意見を耳にするが・・・
資金調達の規模、企業価値の相対的評価、投資家の厚さ
以外にも
投資銀行、資産管理会社が一体化したトータル・サービスを享受できる
という部分はあまり強調されていない。
日本が最高の食事と治安を提供し、割安な教育環境を提供している点
に異論はない。
しかし、資産価値を最大化できる環境であるか・・・
に関しては個人としては疑問に思う。
ちなみに先日上場したHESAI社であるが
時価総額: $2.24bio (2,912億円)
売上: $150mio (195億円)
当期純利益:▲$ 96.45mio (▲125億円)
と赤字上場である。(全て米ドル日本円は@130で換算、時価総額はIPO時のもの)
赤字上場も可能。
中国企業でも可能。
但し、確固たる技術
〜定義するならば、社会に認められ、与信の高い顧客企業から売上を確保していることで初めて〜に基づく事業実態が必要である。
これが米国であり、いかなる素性であろうと機会がある点は素晴らしい。