クラッシャージロウ(7)
ショッピングモールへ迂回しても、例のエアカーは付いてきた。
(これは、完全に尾行されてるな)
あっちゃんは、たった今、思いついた段取りを説明した。
2人の顔が印刷された紙を胸ポケットから出して後部座席の2人に渡すと。
「白いエアカーに乗った2人に尾行されている。地上入り口前に停めるから、君たち3人は降りて、ビルに入る。彼女の指示に従ってくれ。基本的な段取りは、ウィンドウショッピングしているふりをして、3分したら引き返す。買い物はしないこと。このエアカーが、まだ、そこにあれば、そのまま乗り込む。無ければ、そこの停車場に並んでいるタクシーを拾って帰ってくれ」
これで、相手の目的を探ろうという策だ。
エアカーを地上入り口前に着陸させると、追跡車が隠れるように着陸するのが見えた。
3人が降りて、ショッピングモールに入って行ったが、追跡車から人が、降りる気配はない。
そこで、エアカーを屋上のカースペースまで移動させると。追跡車が付いてきた。
(いいぞ、こっちに来い)。
付いてこないようなら、そのまま地上入り口に戻って3人を待つつもりだった。
そうなると、カーチェイスになりそうだが、それは避けたかった。
(エアカーが目当てか、それとも滞在地を突き止めようというのか)
ふと(俺、何か狙われるようなことしたっけ?)
心当たりが、無いような有るような。しかし、そんなことを考えている余裕はない。追跡者が男で無ければ、思い当たることは山ほどある。