見出し画像

世界に誇れる日本の強みは「古いものを後世に残せること」かもしれません

昨日近所の行きつけの酒屋さんに日本酒を買いに行ったのですが、見慣れない銘柄の日本酒があったので聞いてみたところ、愛知県にある200年以上続く酒蔵が20年前に一度廃業し、それを9代目が復活させたお酒とのことでした。

そんなストーリーを聞いてしまうと興味が湧いてこちらのお酒をお買い上げしたのですが、調べてみると復活させた9代目は酒造りとは全く無縁のサラリーマンとして勤めていたものの、祖父が亡くなったことがきっかけで200年続いた家業の復活を決意したとのことでした。
(詳しいストーリーは下記のリンクにあります)

お酒はもちろん美味しかったのですが、思えば日本の各地には数百年以上の歴史を誇る酒蔵がいくつもあり、織田信長の時代から続いている蔵もあります。

実は日本は100年企業、200年企業の数が世界最多であり、飛鳥時代に創業された世界最古の企業も日本に存在しています。

これが中国になると国としての歴史が長い割りには100年以上の歴史がある企業なんて10社ちょっとしかありません。そのため、日本の長寿企業の話を中国人に紹介すると結構驚かれ、日本をリスペクトするようになります。

中国の場合は企業の寿命も短いのですが、古い建物も日本に比べるとあまり残っていません。歴代の王朝はそれこそ紫禁城に負けない立派な宮殿を立てるものの、王朝が変わるたびに灰になってしまうため、明より前の王朝の宮殿なんて一つも残っていません。

中国の歴史は基本的に作っては壊し、作っては壊しを繰り返してきたので、「前の王朝の宮殿を燃やすのはもったいないから使おう」なんて思ったのは清王朝ぐらいだと思います。(それが紫禁城です)

ちなみに紫禁城にあった歴代皇帝の財宝も蒋介石が台湾に運ばなかったら今頃は文化大革命に巻き込まれて貴重な文化財が灰になっていたのかもしれません。

一方で日本では燃えやすい木造なのに数百年から千年以上前に建てられた古い建築物が数多く残されています。写真は国宝の松本城ですが、日本全国に12個ある現存天守の一つで500年前に立てられた天守閣が今も健在です。

奈良に行くと世界最古の木造建築である法隆寺を始め、中国には残っていないレベルの古い建物がいくつもあります。そのため、「唐王朝の建築を見たいなら日本に行け」と言っている中国人もいます。

日本に居ると100年、200年の歴史があるものは珍しくなく、古いものが残っているのはつい当たり前と思ってしまいますが、よくよく考えると先人が相当頑張って守ってくれたから後世に残ることができたと思います。

日本の村社会や家制度といったことは「進歩を阻むもの」としてネガティブに捉えられがちですが、一方で「古いものを後世に残せる」という強みもあります。

最近は古い建物が再開発で壊されることがありますが、冒頭で紹介した酒蔵は若い9代目が復活させたように意外と若い世代のほうが古いものを大切にして後世に残してくれるのかもしれません。

古い価値観は時代に応じてアップデートしていくほうがいいと思いますが、歴史を積み重ねた古いものには価値がありますので、そこはむしろ守っていいけるといいなと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。