台湾のスケート選手が中国のユニフォームを着たら罰せられたという件について
日本ではほとんど話題になっていませんが、個人的に気になったニュースがあります。
北京オリンピックのスピードスケート競技に出場した台湾の黄郁婷選手が交流のあった中国人選手からもらった中国のユニフォームを着用している写真をインスタグラムに投稿したところ、政府から補助金の交付停止処分を受けてしまったという件です。
この件について台湾のYahoo!でもアンケートを募っていましたが、ちょっと興味深い結果になりました。
Q1.政府が代表選手の処分に向けて調査を要請している件について
とても適切:37.5%
まあ適切:14.3%
あまり適切でない:11.7%
全く適切でない:24.8%
わからない:11.7%
こちらについては処分に同意する意見が51.8%、処分に反対という意見が36.5%という結果になりました。
Q2.黄郁婷選手が中国のユニフォームを着た写真をインスタに上げたことについて
とても適切:5.4%
まあ適切:8.9%
あまり適切でない:30.8%
全く適切でない:38.8%
わからない:16.1%
こちらについては約7割が中国のユニフォームを着た写真をアップするのは不適切と考えているようです。
Q3.蘇貞昌行政院長(首相)が黄郁婷選手の行為は国民の期待を裏切っていると指摘したことについて
とても同意する:29.2%
まあ同意する:15.9%
あまり同意できない:18.5%
全く同意できない:23.9%
わからない:12.5%
こちらも黄郁婷選手に批判的な意見が45.1%、黄郁婷選手に同情的な意見が42.4%とほほ真っ二つに割れました。
台湾のYahoo!は中国本土からも投稿は可能(ただしVPNなどが必要)なので中国に友好的な意見はある程度差し引いて考える必要がありますが、この結果はほぼ今の台湾社会を表していると思います。
Q1とQ3では黄郁婷選手に対して「中国にすり寄るなんてけしからん!」という人と「別にいいじゃないか」という人が拮抗していますが、Q2では大多数が「不適切」と答えているため、中国(大陸)に対する台湾人のスタンスが極めて多様で複雑であることが言えます。
(Q2の不適切はおそらく2つの意味があると考えられます。一つは純粋に反中の立場で、もう一つは今の台湾政府の方針に逆らうのはまずいという皮肉の意味もあると思われます)
おそらく日本にいるとその辺があまり見えてこないと思いますが、中国(大陸)に対する台湾人の立場はそんなに単純なものではなく、台湾ナショナリズムが強い民進党支持者でも大陸でバリバリ商売している人がいる一方で、中華アイデンティティが強い国民党支持者でも共産党を「共匪」と呼ぶ強烈な反共主義者もいます。
ただ個人的には中国と台湾の関係が更に悪化したとき、黄郁婷選手のような中国に友好的な態度を取る人が不当な扱いを受けなければと願っています。
対立を煽ることで得をする人も居るかもしれませんが、友好的な関係を保てば大陸側も武力行使の大義名分は立ちませんので、その辺はうまくやってほしいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。